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セルラーIoTが新たなサービスを生み出すM2M市場が変化する?(2/2 ページ)

» 2016年06月16日 09時30分 公開
[Rick MerrittEE Times]
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コネクテッドデバイスとクラウドの力

 Samsung Electronicsで最高戦略責任者を務めるYoung Sohn氏は、「IMEC Technology Forum」(2016年5月24〜25日、ベルギー・ブリュッセル)の基調講演に登壇し、IoTについてFiennes氏と同様の見解を披露している。Sohn氏は一例として、Ring.comを立ち上げた同氏のサーフィン仲間について取り上げた。Ring.comは、ビデオ機能を搭載したドアベルとスマートフォンを接続するサービスを提供する。

 Sohn氏は、「彼は、3人の仲間たちと共に、既存のアイテムをいくつか組み合わせただけだ。これこそが、コネクテッドデバイスとクラウドの力だといえる。かつてないほど簡単に製品を生み出すことが可能だ。例えばInstagramも、3人のエンジニアたちがたった6週間で作り出した。これに対しMicrosoft Windowsのアップデートは、300人のエンジニアたちが2年をかけて行っている」と述べる。

 SamsungやIntelの他、マイコンを取りそろえたあらゆる半導体メーカーが、IoTの波に向け準備を進めている。周辺機器やサービスに対応した、低消費電力モジュールの製品シリーズを発表し始めたのだ。

 セルラーモジュールメーカーは、こうしたビジョンを実現させることにより、比較的高コストで消費電力量も大きいM2M部門を、より規模の大きいIoT事業部門へと拡大することができると期待をかけている。

 現在発表されている、スループットが10Mビット/秒のLTE Cat 1モジュールは主に、間もなく使われなくなるのではと懸念されている2Gおよび3Gネットワークからの移行を望む、既存のM2Mユーザーを引き付けている。

Cat Mが新しい市場を生む

 NimbeLinkのチーフエグゼクティブであるScott Schwalbe氏は、「スループットが1Mビット/秒のCat Mが2017年に策定されれば、新しい市場を見いだすことができるようになる。既存の携帯電話機では、電池寿命の延長や求められる価格を実現できないため参入できず、これまでとは異なる市場になるだろう」と述べる。NimbeLinkは、小規模なセルラーモデムメーカーだが、現在急成長を遂げている。

 既存のM2Mユーザーは、ATMやキオスク、電子署名、POS(Point of Sales)端末、プログラマブルロジックコントローラーなど幅広く、主に2Gネットワーク上で動作している。Schwalbe氏は、「現在オンライン化が進むCat 1対応製品は、油田やガス田、農場などの遠隔監視の可能性を開きながら、2Gと同程度のコストと電力量を維持できる見込みだ」と述べている。

 同氏は、「Cat Mが策定されれば、顧客企業となるのは技術メーカーではなく、化学メーカーなどの製造業者や、製品およびプロセスの監視、管理を必要とする、技術製品以外のメーカーになるだろう。もし当社が、バッテリー搭載エッジセンサーを50米ドルで実現できれば、組み込み遠隔監視の世界への扉を開くことが可能だ」と述べる。

 ただ、「携帯電話事業者は、このような新しい世界へと人々を引き付けられるような、データ価格の大幅な値下げを実現できるのだろうか」とする懐疑的な見方もある。

 モジュールメーカーGemaltoでM2Mポートフォリオ戦略担当バイスプレジデントを務めるAxel Hansmann氏は、「通信事業者が、特にCat M1/M2に関して、適正価格の決め方を判断する必要性に迫られているという懸念に同感だ。彼らが価格決定を受け入れるかどうかは、今のところ分からない。問題は、接続量を確保できなければ収益化は難しいという点だ」と指摘している。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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