2016年11月16〜18日、パシフィコ横浜で「Embedded Technology 2016(ET 2016)」「IoT Technology 2016」が開催される。コアのブースでは、同社のエンベデッド技術を生かしたソリューションを「育む」「研ぎすます」「繋ぐ」のゾーンに分けて展示するという。
2016年11月16〜18日、パシフィコ横浜で「Embedded Technology 2016(ET 2016)」「IoT Technology 2016」が開催される。EE Times Japan/MONOistでは、同展示会の開催に先駆けて、出展社企業に展示する製品やサービスの事前取材を進めている。
今回は、エンベデッド技術とIoTソリューションの展示を行うコアに聞いた。同社エンベデッドソリューションカンパニー営業統括部でソリューション担当課長を務める本田寿浩氏によると、ブースは「育む」「研ぎすます」「繋ぐ」のゾーンに分け、同社技術を生かしたソリューションを展示するという。
本田氏が注目点として挙げたのは、「研ぎすます」に展示する準天頂衛星(QZS:Quasi-Zenith Satellite)対応製品ブランド「COHAC∞シリーズ(コハクインフィニティシリーズ)」である。精密測位信号対応受信機「LEXデコーダ」や、高精度測位受信機「QZNAV」などを展示する。
LEXデコーダは、QZSの補強信号「LEX信号」を受信し、センチメートル級精度の測位に必要な補正情報を出力する。現行の高精度測位技術「RTK:Real Time Kinematic」と呼ぶ全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の測定誤差を補う技術は、補正信号を送信するための地上通信インフラが必要になる。しかし、LEXデコーダは、QZSの補強信号を使用することで衛星信号のみでの精密測位が可能になる。これにより、「コスト面でのメリットもある」(本田氏)と語る。
QZNAVは、QZSからのGNSS補強信号と補完信号を受信可能である。補強信号を活用することで、1m級の高精度測位が可能だ。独自の最適化アルゴリズムにより、移動体測位においても海外トップメーカーに対抗できる測位性能を実現できるとする。
本田氏は、「COHAC∞シリーズは、基礎技術から他社IPを利用せず、国内で研究開発を行っている。つまり、顧客の要望に応じたカスタマイズも可能である」と語る。アプリケーションとしては、トラクターなどの農機や自動車の自動運転システムを想定。今後は、準天頂衛星「みちびき」が4機体制になる2018年に向けて、実証実験を進めていく。
次の注目点として挙げたのは、「育む」で展示するmbed対応ボード「GR-PEACH」である。mbedは、ARMが運営するクラウドベースの開発環境である。
GR-PEACHは、Cortex-A9(動作周波数:400MHz)をCPUコアに採用したルネサス エレクトロニクスのマイコン「RZ/A1H」を搭載。RZ/A1Hは、10MバイトのRAMを内蔵し、カメラ入力やグラフィック出力、オーディオ機能などを持つ。
従来、mbedプロジェクトで採用されたCPUは、Cortex-Mシリーズ搭載マイコンのみだった。Cortex-AシリーズベースのMPUを採用したのはGR-PEACHが「世界初」(コア)。Cortex-A9を採用することで、Cortex-Mシリーズでは実現できなかった高性能で高機能な組み込みシステム環境を提供できるとする。また、Cortex-Mシリーズで使用していたソフトウェア資産を移行することも可能だ。コアが開発と製造を担っている。
GR-PEACHは「Full」と「Normal」の2製品があり、各種販売代理店から購入できるという。専用のオーディオカメラシールドや、LCDパネルシールドも提供されている。
「繋ぐ」では、採用事例や実証実験を基にしたIoTソリューションのデモを展示予定。なお、ブース内ではソリューション別のプレゼンテーションも行われ、参加者には、GR-PEACH FullとGR-PEACHの解説本が抽選でプレゼントされるようだ。
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