FPGAベンダーであるLattice Semiconductor(ラティス セミコンダクター)が、投資ファンドに買収されることで合意したと発表した。
FPGAベンダーであるLattice Semiconductor(ラティス セミコンダクター)が、米国カリフォルニア州パロアルトに拠点を置く未公開株式(プライベート・エクイティ)投資ファンドCanyon Bridge Capital Partners(以下、Canyon Bridge)による買収に合意したと発表した。買収金額は約13億米ドル(1株当たり8.30米ドル)で、Lattice Semiconductorの純負債も含まれるという。これは、今回の買収発表前の最終取引日となる2016年11月2日のLattice Semiconductorの終値に対し、30%のプレミアムを上乗せした価格となる。
今回の買収により、大手FPGAベンダーの中で買収されずに生き残っているのは、唯一、Xilinx(ザイリンクス)だけとなる。2010年にはActel(アクテル)がMicrosemi(マイクロセミ)に買収され、2015年にはAltera(アルテラ)がIntel(インテル)によって買収されているが、これらの買収の背景には、いずれも技術関連の要素がある。
例えば、Microsemiは、セキュリティ分野で大きな力を持っているが、セキュアなブート処理を実現する上で、ActelのフラッシュメモリベースのSoC FPGA「SmartFusion」が重要な役割を担う。またIntelは、CPU市場で圧倒的な優位性を確立しているが、同社のCPUとAlteraのFPGAとを組み合わせることで、1つのバッケージ上にそれぞれのデバイスを個別に搭載したり、最終的には1つのダイ上に統合したりすることによって、HPCなどの用途向けに極めて重要な役割を果たしている。
Lattice Semiconductorは、2015年初めにSilicon Image(シリコン イメージ)を買収し、FPGAとASSPの両方を入手することのメリットを強調した。その最初の成果が、ビデオブリッジ向けプログラマブルASSP(pASSP)「CrossLink」シリーズの実現だ*)。
*)関連記事:MIPI D-PHYブリッジIC、ラティスが製品化
しかし、今回のCanyon BridgeによるLattice Semiconductor買収は、技術的な要素が全く存在せず、ただ純粋に金銭的な動機付けによるものである。Lattice Semiconductorでマーケティング担当シニアディレクタを務めるDoug Hunter氏は、EE Timesのインタビューに応じ、「技術市場へ参入を狙うCanyon Bridgeは、長期投資ポートフォリオを構築する上で、Lattice Semiconductorが頼みの綱になると考えたようだ」と述べている。
Hunter氏によると、Canyon Bridgeは、Lattice Semiconductorの開発チームを現状のまま維持しながら、資金を提供することにより、Lattice Semiconductorが現在進めている取り組みを加速させていく考えだという。こうした対応は、非常に理にかなっているといえるだろう。なぜなら、Lattice Semiconductorは過去数年の間に、成長の一途にある大規模なニッチ市場を自らの力で切り開いてきたからだ。今や、同社の中小規模の低消費電力FPGAは、モバイル機器や家電、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)などの幅広い市場において採用されている。なお、同社はFPGAの他、pASSP製品や電力/温度管理ソリューションなども手掛けている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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