事業の見直しを公表していた新生Broadcomが早速、動いた。2016年5月、BroadcomのIoT向け無線通信事業を、Cypress Semiconductor(サイプレス)に売却すると発表した。売却額は5億5000万米ドル(買収は、同年7月に完了)。
取引の対象になったIoT向け無線通信事業は、旧Broadcomが手掛けてきたWi-Fi、Bluetooth、ZigBee関連の技術、IP(Intellectual Property)、製品に関わる事業部門。製品の中には、IoT機器開発向け製品群「WICED(Wireless Internet Connectivity for Embedded Devices:ウィキッド)」や、同社が「5G Wi-Fi」と呼んでいたIEEE 802.11ac対応製品も含まれた。
Cypressは、2015年のSpansion(スパンション)との経営統合で、マイコン、メモリ、アナログ半導体を手掛ける、より総合的な半導体メーカーとなり、自動車や産業機器を中心にした組み込み機器市場に注力したビジネスを展開。これまでも、一部でIoTに必須となる無線通信デバイスを手掛けていたが、Bluetoothなどの一部無線規格に限られ、今回の買収で大幅に無線通信デバイスのラインアップが強化されたことになる。
Cypressは今後も製品ブランドとしてWICEDを継承する方針を表明。Bluetoothチップなど一部重複している製品については、2017年後半に旧Broadcom製品に統合するとしている。
関連記事
・サイプレス、ブロードコムのIoT事業を買収へ
・IoT機器向けエコシステムを完成――サイプレス
中国最大のファウンドリーであるSMIC(Semiconductor Manufacturing International Corporation)は2016年6月、イタリアのファウンドリーであるLFoundry S.r.l.(以下、LFoundry)の株式の70%を約5500万米ドルで取得すると発表した。
SMICのCEOであるTzu-Yin Chiu氏は、「SMICにとって今回のLFoundry株式取得は、世界戦略における重要な一歩となる。今後も引き続き、世界半導体エコシステムにおけるリーダーシップの強化、拡大を実現していきたい」と述べた。
昨今の半導体業界再編では、潤沢な資金を背景に、中国のメーカー/ファンドが買収攻勢を仕掛けているものの、米国当局などの承認を得られず破談になるケースが続出している。そうした中で、数少ない成立にまで至った中国企業による買収劇となった。
なお、SMICは、華南地域(中国南部)初の12インチウエハー対応前工程工場の建設(2017年末稼働予定)を発表するなど積極的な投資を実施している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.