浦氏は、MOORINGの開発について「大きな挑戦」と語る。MOORINGは、PP電圧フィルムから取得する心拍数や呼吸、体動に加えて、コントローラーからは室内のデータを10秒単位でサーバに上げている。求められる計算能力が高く、サーバに対する負荷が非常に大きい。浦氏によると、MOORINGが取得するデータ量は従来のIoT製品よりも約100倍という。今後ユーザーが増えるほど、サーバの負荷も大きくなるため、現在も仮想的にデータ量を増やしてサーバに負荷を掛けた検証などを進めている。
また実際に寝るときに重要なのは、フィルムの存在を感じさせないことだ。MOORINGには、心拍数や呼吸を計測するPP電圧フィルムと、加熱用フィルムが組み込まれている。
フィルムの存在を感じさせないためには、薄さと柔軟性が重要になる。2015年6月当時は薄さ1mmほどで、デモ機までは「フィルムの固さを感じた」(浦氏)と語る。材料の工夫に挑戦したことで、柔軟性が高く、薄さ0.4mmのPP電圧フィルム、同0.1mmの加熱用フィルムを実現した。私も実際に触ったが、フィルムの存在は感じなかった。薄くなるほどノイズが発生してデータ収集に影響を与えるが、その対策も行ったとする。
浦氏は「科学を専門にするAlice氏に加えて、加熱フィルム、スマートバンド開発を専門にしていたメンバーが結集したことで、MOORINGを開発できた」と強調した。
MIRAHOMEが目指すのは、睡眠と健康に焦点を当てたIoT製品を開発することで、人々のヘルスケアパートナーになることという。MOORINGもソフトウェアのアップデートにより、新しい機能を追加する予定だ。松本氏は「進化し続けることによって、MOORINGから未来を見通してもらえるような、そんな面白い製品にしていきたい」と語った。
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