前回で説明したように、複数のチップで構成されたパッケージには、外形寸法を小さくするとともに、動作周波数や帯域幅などを高く維持すること、電力効率を高めること、製造コストを低く維持すること、などが求められる。これらの目標を達成する究極のパッケージング技術として期待されてきたのは、シリコン貫通ビア(TSV: Through Silicon Via)技術によって複数のシリコンダイの積層と接続を実現する3D IC(Three-dimentional Integrated Circuit)だ。
しかし、旧世代のパッケージング技術から見ると、TSV技術による3D ICとの間には大きなギャップが存在した。旧世代のパッケージング技術とは、フリップチップCSP(Chip Scale Package)やフリップチップPoP(Package on Package)、マルチチップのフリップチップCSPなどである。これらのパッケージング技術は、プリント基板と類似の樹脂基板、シリコンダイの表面と樹脂基板をはんだボール経由で接続するフリップチップ技術、樹脂封止技術といった、成熟した安価な要素技術によって構成されていた。
TSV技術による3D ICでは、シリコンダイを貫通する細い孔(ビア)を電極として上下のシリコンダイを微小なバンプ(マイクロバンプ)によって電気的かつ機械的に接続する。TSV技術とマイクロバンプ技術は比較的新しく、製造がそれほど容易ではなく、そして何より、製造コストが高くつく技術である。カネに糸目を付けない一部の特殊な用途を除くと、TSV技術による3D ICへの移行はハードルが高すぎた。
そこで登場したのが、2.5Dあるいは2.nDなどと呼ばれる、新世代のパッケージング技術である。
(次回に続く)
⇒「福田昭のデバイス通信」バックナンバー一覧
SanDiskが語る、抵抗変化メモリのセル選択スイッチ技術(前編)
Intelが10nmプロセスの詳細を明らかに
エレクトロニクス産業を動かす“3大潮流”
近代科学の創始者たちに、研究不正の疑いあり(コペルニクス編その1)
次世代3次元SoCは、TSVを使わない――Qualcomm
シリコンが次の手、村田製作所のキャパシター戦略Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング