Analog Devices(アナログ・デバイセズ)は2017年10月2日、電源ICとともにインダクターやコンデンサーなど受動素子をパッケージに封止した電源モジュール製品群「μModuleレギュレーター」の新製品として超低ノイズ、小型を特長とする「LTM8065」を発売した。
Analog Devices(アナログ・デバイセズ/以下、ADI)は2017年10月2日、電源ICとともにインダクターやコンデンサーなど受動素子をパッケージに封止した電源モジュール製品群「μModuleレギュレーター」の新製品として超低ノイズ、小型を特長とする「LTM8065」を発売した。入力電圧範囲3.4〜40V、出力電圧範囲0.97〜18V、出力電流2.5Aの降圧レギュレーターで、サイズは6.25×6.25×2.32mm。独自技術によりEMI(電磁妨害)規格「CISPR22 Class B」を満たす低放射ノイズを実現している。
μModuleレギュレーターは、旧Linear Tecnology(以下、LTC)が2006年に販売を開始した製品群。レギュレーターチップと受動素子をパッケージに封止し、わずかな外付け部品だけで電源を構築できる“パッケージ型電源モジュール”として車載、産業、通信など幅広い用途分野で利用が進む。ADIによると「発売以来、毎年2桁の売り上げ成長を記録し、短期間でADI電源製品の主力製品群の1つになっている」という。
新製品LTM8065は、μModuleレギュレーターとして最小となる6.25×6.25×2.32mmサイズのBGAパッケージを採用した製品。ベースとなるレギュレーターチップに、旧LTCの独自スイッチングノイズ抑制技術「Silent Switcher(サイレントスイッチャ)」などを適用した低ノイズICを採用し、小型パッケージでCISPR22 Class Bの要件を満たすことができる特長を備える。
レギュレーターのノイズ発生源の1つに入力段のホットループ(磁界ループ)がある。Silent Switcherはレギュレーターを2つに分ける形で、わざとホットループを2つ作り出す技術。この時、互いに逆向きの磁界ループを作り、互いの磁界を打ち消し合うことでノイズを抑制する。アナログ・デバイセズでは、このSilent Switcher技術に加え、スルーレートを損なわず、スイッチング時のオーバーシュートを低減する独自のソフトスイッチング技術、ノイズピークを低減するスペクトラム拡散技術*1)を搭載し、大幅なノイズ低減を実現している。
*1)スペクトラム拡散機能は、ユーザーでオン/オフを選択できる。
「LTM8065は、Silent Switcherレギュレーターとともに、ノイズ発生源であるインダクターなども樹脂パッケージに封止していることなどから、これまでSilent SwitcherレギュレーターICと外付けインダクターで構成した電源回路よりも、ノイズを低減できる」とする。
また、パッケージ型のモジュール化により、「0805(0.8×0.5mm)サイズ」のコンデンサー2個と「0603サイズ」の抵抗器2本だけを使用した約100mm2の基板面積で電源を構築可能。「同等電力レベルのモジュール品と比べ約半分のサイズに小型化できる」とする。
LTM8065は、85℃までの周囲温度で12Vから5Vの降圧動作で、2.5Aの連続出力電流(ピーク出力電流は3.5A)を供給できる。スイッチング周波数は200kHzから3MHzの範囲で選択可能(外付け抵抗で設定できる他、外部クロックにも同期可能)。Burst Mode(バーストモード)動作、パルス・スキップ・モード、スペクトラム拡散変調付きパルス・スキップ・モード、外部同期モードの4つの動作モードを備え、Burst Modeでの自己消費電流は8μAで、軽負荷時を含め高い変換効率を実現する。
動作温度範囲は−40〜125℃。価格は、1000個購入時7.75米ドルからとなっている。
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