パワーモジュール用高熱伝導窒化ケイ素基板開発:熱伝導率130W/m・Kを実現
日立金属は2017年10月、電気自動車やハイブリッド自動車、産業機器などに搭載されるパワーモジュール向けの高熱伝導窒化ケイ素基板を開発した。高い熱伝導率と機械的特性を両立している。
新たに開発した窒化ケイ素基板の外観
日立金属は2017年10月、電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)、産業機器などに搭載されるパワーモジュール向けの高熱伝導窒化ケイ素(Si3N4)基板を開発したと発表した。従来と同等の曲げ特性を維持しつつ熱伝導率を高めた。
パワーモジュールは電力の変換と制御を行う部品で、モーターの制御回路などに用いられる。このモジュールに用いる絶縁基板は優れた絶縁特性に加えて、今後はパワー半導体からの放熱を効率よく逃がすための高い熱伝導率と機械的特性が求められるという。
同社が開発したSi3N4基板は、これまで培ってきた窒化物系セラミックスの材料技術と製造プロセスの最適化により、熱伝導率130W/m・Kを実現した。従来のSi3N4基板だと90W/m・Kだという。しかも、曲げ強度は700MPaで従来品と同等の特性を維持している。
開発品と現行品の特性比較出典:日立金属
開発したSi3N4基板を用いると、パワーモジュールの冷却機構を小型化でき、部材コストも節減できるという。また、SiC(炭化ケイ素)半導体を実装した時も、高温動作への対応が可能となる。
日立金属は2019年より開発品の量産を始める予定である。今後は、製品の拡充や生産能力の増強などに取り組み、Si3N4基板事業で2025年度までに2016年度比5倍の売り上げ規模を見込んでいる。
- 高周波電力変換用ブロックコア、日立金属が開発
日立金属は、ナノ結晶軟磁性材料「ファインメット」および、アモルファス合金「Metglas」を用いて、100kW超級高周波電力変換用のブロックコアを開発した。高周波領域の変圧器において、より小型軽量化と電力変圧の高効率化を可能とする。
- クラッド集電箔開発、Li電池の高容量化を可能に
日立金属ネオマテリアルは、高容量リチウムイオン電池向けのクラッド集電箔を開発した。リチウムイオン電池のさらなる高容量化により、EVの航続距離を伸ばすことが可能となる。
- 発熱を抑えた小型DC-DCモジュール群 MPSが展示
MPS(Monolithic Power Systems)は、「TECHNO-FRONTIER 2017(テクノフロンティア2017)」(2017年4月19〜21日、幕張メッセ)で、DC-DCパワーモジュールや、センサーを内蔵したブラシレスDC(BLDC)モーター用FOC(Field Oriented Control)コントローラーなどを展示した。
- 三菱電機がSiC-SBDを単体で提供、高いニーズ受け
三菱電機は「TECHNO-FRONTIER 2017(テクノフロンティア2017)」(2017年4月19〜21日、幕張メッセ)で、SiCパワーデバイスや、鉄道や大型産業機械向けの高電圧IGBTモジュール、水を流して直接冷却できる自動車用パワーモジュールなどを展示した。
- SiCとリカロイで電力変換モジュールが従来比1/3に
アルプス電気は、「TECHNO-FRONTIER 2017(テクノフロンティア2017)」(2017年4月19〜21日、幕張メッセ)で、従来品に比べて体積を3分の1に小型化した電力変換モジュールを展示した。SiCパワーデバイスと、アルプス電気独自の材料を使ったコイルによって、この小型化を実現した。
- IBM、7nmプロセス向けの新しい絶縁材料を開発
IBMが7nmプロセス以降の技術に適用できる、新しい絶縁材料を開発したと発表した。SiBCNとSiOCNで構成され、動作電圧を向上させるとする。
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