コンピューティング(エッジコンピューティング)については、「売上高はまだ少ないが、Latticeにとって極めて重要な分野だとみている」とHawk氏は語る。
エッジコンピューティングといっても用途は多岐にわたるが、Latticeが狙うのは、消費電力が1W以下で、処理性能が1テラOPS(Operations Per Second)のアプリケーションだ。具体的には、モバイル端末での顔認識や、スマートスピーカーでの音声認識などである。
Hawk氏は、「ここ数年、エッジ側にインテリジェンスを持たせる、つまり、エッジ側にニューラルコンピューティングや機械学習(マシンラーニング)の機能を持たせるトレンドがあるが、これは当社のようなFPGAメーカーにとって追い風になるだろう。理由は2つある。1つは、ニューラルコンピューティングや機械学習では並列処理が必要になることだ。ここは、逐次処理を行うマイコンとは明確に差別化できる。2つ目は、この分野は新しいので、アルゴリズムが頻繁に変わり、新しい回路の実装やプログラムの変更が見込まれるからだ」と続けた。
Latticeは約1年前に、未公開株式投資ファンドCanyon Bridge Capital Partners(以下、Canyon Bridge)による買収に合意し、計画を進めてきたが、2017年9月、米トランプ大統領が発令した大統領令によって破談になった(関連記事:投資ファンドによるLattice買収が破談に)。これについてHawk氏は、「1年前から買収計画を進めてきたが、承認が下りなかった。だが、破談になっても単独のパブリックカンパニーとして成長を続けていく自信がある」と強調した。
「Canyon Bridgeと話し合いを始めた1年前に比べると、状況が大きく変わっていることもあり、少なくとも中国系の企業による買収はないのでは。小型で低消費電力のFPGAを提供するという独自の地位を確立しており、Latticeの取締役会からのサポートも強い。今後も、現在の戦略に基づいて事業を継続していく」と強調した。
この他、Latticeの動きとしては、HDMI製品の設計チームが、米INVECASに売却されていることが挙げられる。INVECASは、ASICの設計サービスやIP(Intellectual Property)ソリューションを提供するメーカーだ。ただし、INVECASに移行したのはHDMI 2.1の開発に関わる設計チームだ。
Hawk氏は、「LatticeはHDMI関連のASSPを手掛けてきた。だが、HDMI 2.1は標準化がだいぶ遅れていて、その間に、HDMIを搭載するTVなどのアプリケーションでは、ASSPではなく、関連するIPを搭載したSoC(System on Chip)を使うようになっていった。IPの提供はLatticeのビジネスモデルではないので、そういった事業を手掛けるINVECASに、HDMI 2.1関連製品の開発チームを移行することにした」と説明した。なお、HDMI 2.1移行の製品はLatticeでは扱わないものの、それより前の既存のHDMI製品については、引き続き取り扱う。
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