さらに、高木氏らは、高濃度に不純物を添加したSiもしくはGe上に、レーザーアブレーションにより酸化物半導体であるZnO(酸化亜鉛)を堆積することで、トンネルFETを実際に作製した。
【作製したトンネルFETの製造工程】
(a)高濃度の不純物を添加したp型Siもしくはp型Ge基板上に絶縁膜を堆積し、トンネル接合を形成するためのウィンドウを形成。
(b)酸化物半導体(今回は酸化亜鉛)を全面に堆積し、所望の構造にエッチング。
(c)ゲート絶縁膜としてAl2O3を堆積。
(d)TiNゲート電極を形成。
(e)p型Siもしくはp型Ge上にNiソースコンタクトを、ZnO上にAlドレインコンタクトを形成し、最後に各電極上にAlの引き出し電極を形成。
その結果、「既存の半導体作製プロセスにZnO堆積のみを追加することで、所望の構造を実現可能であることを実証した。オン状態とオフ状態の電流比は8桁を上回り、これまでのトンネルFETと比べて約4倍となった」(東大など)とする。
研究チームでは「今後は、より詳細な材料選択とプロセスの最適化により、さらなるオン電流の増大とS係数の低減を目指す」としている。
なお、本研究は科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業の1つとして実施されたもの。2017年12月3日に国際会議「IEDM 2017」で発行された「Technical Digest」に本研究成果が掲載された。
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