ロームは、「オートモーティブ ワールド 2018」で、未来のクルマの「安全」「快適」「環境」を実現するためのSiCパワーデバイスやオペアンプIC、オーディオシステム向けソリューションなどを紹介した。
ロームは、「オートモーティブ ワールド 2018」(2018年1月17〜19日、東京ビッグサイト)で、未来のクルマの「安全」「快適」「環境」を実現するためのSiCパワーデバイスやオペアンプIC、電源ICなどの先端デバイスと、ディスプレイやオーディオシステム向けなどのソリューションを紹介した。
ブースで注目された製品の1つが、ノイズ設計フリーの車載グランドセンスオペアンプ「BA8290xYxx-Cシリーズ」である。全周波数帯域における出力電圧変動が、±1%以下という極めて高いEMI耐量を実現した。従来製品だと±3.5〜±10%が一般的だという。
ノイズ設計フリーは、新たに開発したEMIフィルター回路を内蔵、耐ノイズ性を高めるアナログレイアウト、そしてノイズ特性を改善する独自のバイポーラプロセスと、3つのアナログ技術を融合することで実現した。
オペアンプは微小な信号を出力するセンサー素子などの後段に設け、微小信号を増幅してA-Dコンバーターやマイコンに出力する役割を持つ。このため、車載システムや産業機器などでは、特に高いノイズ耐性が求められる。ノイズ耐性が低いとノイズも含めて入力信号を増幅してしまうことになる。これを防ぐため、外部にはEMI対策用のフィルターやシールドを設ける必要があった。
BA8290xYxx-Cシリーズを用いると、こうしたノイズ対策に向けた設計が不要となる。このため、評価用基板を用いて試行錯誤を繰り返すこともなくなる。この結果、システムの設計工数や負荷、設計コストの削減が可能になるという。しかも、入力オフセット電圧などの特性は、従来製品と同等であり、置き換えも容易である。BA8290xYxx-Cシリーズは、車載半導体信頼性試験基準「AEC-Q100」にも準拠している。
ブースでは、エンジン駆動を模擬したデモ機に、BA8290xYxx-Cシリーズと一般のオペアンプICを別々に接続して、外部から与えたノイズの影響を確認した。それぞれのIC近くでノイズ源となるトランシーバーを動作させたところ、BA8290xYxx-Cシリーズはノイズの影響を受けずシステムが正常に動作。ところが、一般のオペアンプICはノイズの影響でエンジン駆動が停止する結果となった。
同社では今後、ノイズ耐性のさらなる改善や高速・広帯域化、高精度、より低い入力オフセット電圧への対応などに取り組んでいく予定である。
この他、電気自動車レース「FIAフォーミュラE選手権」に参戦しているヴェンチュリー・フォーミュラEチームへ提供しているフルSiCパワーモジュールも紹介、SiC技術に関する同社の先進性を示した。
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