日置電機は2018年6月、リチウムイオン電池や全固体電池などのバッテリーの測定を効率化するスイッチメインフレームの発売を開始した。2台のバッテリー用測定器を複数のバッテリーと接続し、自動で測定を高精度に実施できる。
日置電機は2018年6月、リチウムイオン電池や全固体電池などのバッテリーの測定を効率化するスイッチメインフレームの発売を開始した。2台のバッテリー用測定器を複数のバッテリーと接続し、自動で測定を高精度に実施できる。
日置電機は、バッテリーの開発現場や生産現場向けにさまざまな測定器を展開している。直流電圧計(デジタルマルチメーター)をはじめ、バッテリーの内部抵抗と電池電圧を同時測定するバッテリーハイテスター、バッテリーインピーダンスメーターなどだ。なかには、電気化学部品、材料の評価などで用いられる電極・電解質のイオンなどの特性を把握するための「Cole-Coleプロット図」を表示できるケミカルインピーダンスアナライザーもある。
多彩なバッテリー測定ニーズに応える測定器をラインアップするが、「バッテリー開発現場には、測定での課題が残っていた」(日置電機)とする。その課題とは、材料の配合などを微妙に調整し、多くのバッテリーを試作、評価するバッテリー開発現場では、測定が煩雑で、手間がかかるという課題だ。「多くのバッテリーを評価、測定するには、何度も測定器をつなぎ直す必要があり、かなりの手間を要した。大規模な開発現場では、測定器とバッテリーの接続を自動で切り替えるマルチプレクサーを自作する開発現場も多かったが、マルチプレクサーを開発する手間がある上、開発したマルチプレクサーではどうしても測定誤差が生まれ、正確な計測ができなかった」(同社)とする。
そこで日置電機は、さまざまなバッテリー測定器と複数のバッテリーの接続を自動で切り替えるスイッチメインフレームを開発し、製品化した。
スイッチメインフレームは、最大2台のバッテリー測定器を接続(2線式測定器1台と4線式または4端子対[6線式]測定器1台の組み合わせ)でき、測定対象となるバッテリーも最大264個(マルチプレクサーモジュール12個を搭載できる12スロット品において2線式測定の場合。4端子対による測定の場合には最大72個となる)を接続できる。
スイッチメインフレームに挿入して使用するマルチプレクサーモジュールは、渦電流やノイズの影響を受けにくい回路設計を施し、スイッチメインフレームを介しても、直接バッテリーに接続した場合とほぼ誤差のない正確な測定ができるという。
また、各測定器の制御コマンドについても、制御用PCからスイッチメインフレームを介した送信することができ、制御PCの使用ポート数を削減できる。PC用の測定アプリケーションソフトも無償で配布され、同アプリではOCV(Open Circuit Voltage)測定専用機能の他、ロギング機能、多チャンネルCole-Coleプロット測定機能などを備える。
スイッチメインフレームの価格は、3スロット品の「SW1001」が15万円(税別)、12スロット品の「SW1002」が28万円(同)。オプションとして提供されるマルチプレクサーモジュールは、2線式、4線式に対応する「SW9001」が6万円(同)、4端子対または2線式に対応する「SW9002」が8万円(同)となっている。
スイッチメインフレームに対応するバッテリー測定器は現在、直流電圧計「DM7276」、バッテリーテスター「BT3562」、バッテリーインピーダンスメーター「BT4560」、ケミカルインピーダンスアナライザー「IM3590」の4機種。
「これらの測定器以外にも、抵抗メーターなどさまざまな測定器も接続できる見込み。今後、ニーズを見極めながら、動作確認を行いながら(測定結果を保証する)対応測定器を増やしていき、測定の手間を削減していきたい」(同社)としている。
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