今回のテーマは「働き方改革」の「若者人材育成」です。「若者人材育成」をよく読み解いてみると、その根っこには、深刻な“ひきこもり”問題が存在していることが分かります。
「一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジ」として政府が進めようとしている「働き方改革」。しかし、第一線で働く現役世代にとっては、違和感や矛盾、意見が山ほどあるテーマではないでしょうか。今回は、なかなか本音では語りにくいこのテーマを、いつものごとく、計算とシミュレーションを使い倒して検証します。⇒連載バックナンバーはこちらから
厚生労働省が定義する「ひきこもり」とは、「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6カ月以上続けて自宅にひきこもっている状態」をいい、時々は買い物などで外出することもあるという場合も「ひきこもり」に含まれます。
今回からテーマは「若者人材育成」に移ります。私は、政府の働き方改革の「若者人材育成」について調査し、さらに、この「ひきこもり」についても、インターネット上の公文章、論文、書き込み、そして、動画に至るまで調べてみました。その結果、内容はおおむね以下の3つに大別されるようです。
(1)厚生省、地方自治体の「ひきこもり」の人達に対する支援サービスについての公知
(2)「ひきこもり」をしている人たちの状況または意見(「苦しみの告白」から「新しい価値観の主張」までさまざまな意見)
(3)「ひきこもり」をしている人たちに対する、批判、非難、罵倒、怨嗟。一言で言えば「憎悪」
特に、この最後の「憎悪」は激烈でした。ここでは記載できない程の、過激で差別的な表現で記載を簡単に発見できます(新聞会社が運営する電子掲示板形式の投稿コーナーなどを探せば、すぐに見つかります)。
そして、残念ながら、私自身ですら、「予備知識もなく、調査もせず、現場を知らず、問題の全体象を把握していない」という状態であったら、『このような考え方をしたかもしれない』と思いました。
ですので、今回の「若者人材育成」は、その課題からアプローチするのではなくて、
―― なぜ私たちは、これほどまでに「ひきこもり」を憎むのか
という、私たちのマインド(心)面から、アプローチしてみたいと思います。
こんにちは、江端智一です。
今回は、政府が主導する「働き方改革」の項目の一つである、「女性・若者人材育成」の中の、「若者」に関する(i)「働き方改革実行計画」から逆算して見えてきた問題の正体、(ii)「スキル」と呼ばれるモノの明確化、そして、(iii)「ニート/ひきこもり」について ―― 特に私たちのマインド側から ―― 把握してみたいと思います。
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