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» 2018年12月28日 10時30分 公開

政府の地雷? 「若者人材育成」から読み解くひきこもり問題世界を「数字」で回してみよう(54) 働き方改革(13)(3/10 ページ)

[江端智一,EE Times Japan]

「フリーター/ニート/ひきこもり」に共通する問題

 さて、最初に、「フリーター/ニート/ひきこもり」について整理しておきたいと思います。

 まず、フリーターは「仕事をしている」という点で、ニートやひきこもりとは異なります。ただ、仕事に「雇用期間の定めがある」あるという点が、「正規雇用」と違うだけです。ただ、この3つに共通する問題はあります。「スキル問題」です。

 ここで言う「スキル」とは、仕事を行うための能力のことを言います。しかし、その「仕事を行うための能力」というものを、具体的に説明できる人は少ないようです*)

*)家族にも聞いてみましたが、『うーん……、パソコンで文章を作れるとか?』という程度でした。

 しかし、それでも、ニート/ひきこもりは言うに及ばず、フリーターであったとしても「雇用期間の定めがある」ということは、継続して同じ仕事を続けることができないことになります。雇用期間後に、別の仕事に移動した場合、移動前の知見(ノウハウ)が使えずリセットされて、別のノウハウを最初から学び始めなければなりません。

 このような状態が続けば、高度で希少価値の高いスキルを取得することはできず、低コストの汎用性の高い、誰にでもできるような低レベルのスキルしか身につかないことになります。

 当然、その人の労働力としての価値も賃金も低いまま維持されます。労働価値としての競争力も低いままですので、転職の度に苦労し、低い収入で働き続けることになります。結婚や、社会保障を受けることすら難しい貧困状態にもなり得ます。

 つまり、我が国においては、「最初の就職でのスキル取得に失敗すると、そこからの復活戦が恐ろしく難しい」ということなのです*)

*)あふれるような能力や気力や才気があり、そんな失敗をものともしない人。私はあなたが嫌いです。

 しかし、現時点において、正社員として採用された大卒の新入社員における、3年以内の離職率は3割程度を継続しています(高卒で5割、中卒で7割)。この主たる要因が「雇用のミスマッチ」といわれているものです*)

*)これを、「若者の努力不足や根性不足」と論じる論者がいれば、"日本の離婚率35%"の話と合わせて、合理的な説明をして頂きたいと思います。

 私のようなシステムエンジニアから見れば、就業であれ結婚であれ、それは「システム」です。システムである以上、「ミスマッチ」というのはそのシステムが当然に有する特性の一つにすぎません。

 これまで、我が国の政府が、この「雇用のミスマッチ」と「ミスマッチから開始されるスキル問題」を看過し続けることができたのは、人口増加社会と、その社会に基づく雇用の増加が保証されていたからであり、復活戦は(今ほどには)難しくなかったからです。

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