さて、働き方改革実行計画の中で、「若者」をキーワードとして検索すると10箇所ヒットしますが、基本的には法律とお金(の金額)の話です。
ただ、その"若者"の検索の前後を読むと、政府が"若者"の働き方について考えている、5つのポイントが見えてきます。
上記のリストの内容を、裏読みすれば、
(A)正規労働者を前提とした社会はもうダメだろう
(B)これまでの「修学→就職→退職」のパターンは壊れるだろう
(C)企業が従業員を教育する従来のOJT(On Job Training)は期待できないだろう
(D)ブラック企業による若者の使い捨ては増加していくであろう
という、冷静な分析がされていることが読み取れます。
で、当然のことながら、その本当の狙いは「若者の幸せな労働の実現」……などではなく、「『少子化社会における、高い生産性を有する労働力の確保』の一択」であることは、言うまでもありません(関連記事:「誰も知らない「生産性向上」の正体 〜“人間抜き”でも経済は成長?」)。
ただ、このリストからは、このリストの内容に至る「直近の問題」が何なのかが読み取れません。
そこで今回、私は、この計画書を立案したメンバーの一人の気持ちになって ――『月当たり残業時間が100時間を越えたくらいで過労死するのは情けない』とかほざくアホな大学教授*)を、ミーティングルームの外に追い出した後 ―― ホワイトボードに記載されていた(であろう)内容の復元を試みてみました。
*)関連記事:「データは語る、鉄道飛び込みの不気味な実態」
つまり、前述した(A)から(D)のうち、「(i)非正規雇用社会を前提として、(ii)若者のスキルアップの機会が失われ続け、(iii)若者の無知に付け込む悪質な企業が今後も登場する」という世界の根っこにあるものは、「フリーター/ニート/ひきこもり」と「ブラック企業」の2つだったに違いない、と、私は予想しました。
今回は、この1つ目である「フリーター/ニート/ひきこもり」の観点から、この問題を見ていきたいと思います(次回は、「ブラック企業」の検討をします)。
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