今回の働き方改革では、「雇用のミスマッチ」の存在を公式に認め、そのような社会を前提とした上で、その対策に乗り出した、という点において評価できると考えております。
ただ、この対策の内容は、まだまだ具体的といえるものではありません。これからの政府、企業、そして私たち自身も考えていかねばならないことだと思っています。
ところで、上記の「雇用のミスマッチ」の対策については、フリーター(非正規雇用)や、若者の3年以内の転職などについてはヒットする内容 ―― かもしれませんが、そもそも、労働しない、もしくは、労働できない「ニート/ひきこもり」には、この対策すら通用しません。
で、実際のところ「働き方改革実行計画」には、「ニート/ひきこもり」に対する記載が一切ありません(本当)。「変だな」と思って、今回は「ひきこもり」の方にウエイトを置いて調べてみましたが ―― 結構、無視できない数の対象者がいる"らしい"ことが分かりました*)。
*)ちなみに、政府は2025年までに5分野で「50万人超」の外国人労働者の受け入れを目指すとしているそうです。
なぜ、"らしい"などという表現を使ったかというと、一応、私、このコラムを書く時には、2つ以上の1次データでチェックすることを心掛けているのですが、今回に限っては、もうデータの内容がバラバラで、数値を特定できなかったからです。ですから、上記の表の数値は「大体の規模感」として見て頂きたいと思います。
それでも、200万人規模(推定)の「ひきこもり」は、それ自体が大きな潜在的な労働力のはずです。もっとも、『国内のひきこもり200万人 vs. 有能な外国人労働者50万人』のどっちに軍配が上がるか(というか、どっちの方がラク(コストが安い)か)は、私にも分かりませんが。
ここからは、私の推定(妄想、あるいは邪推の類い)ですが、「ひきこもり」は、政府にとっては、ある種の「地雷」だったのではないかと思っているのです。
これが、冒頭の『(3) 「ひきこもり」をしている人たちに対する、批判、非難、罵倒、怨嗟。一言で言えば「憎悪」』の話につながります。
今回の調査で、私は多くの「ひきこもり」を攻撃する側の人の書き込みを大量に読み込んで、この「憎悪」のロジックをおおむね組み立てられたと思います。以下にそのフローを記載します。
"労働"を示す英単語"labor"は、ラテン語のtoil(苦役), pain(苦痛)からフランス語を経由して14世紀に英語に入ってきたそうです。で、まあ、実際のところ、私たちは、基本的に「仕事は苦痛」であるということを、日常生活で思い知りながら生きています。
そういう意味では、この「憎悪のロジック」には、(一方的な見方ではありますが)一定の客観性があり、共感も得られやすいと思います。そして、「政府が手を出したくないなぁ」と考えても、私はそれを責めることはできないように思えます(私だって、この話題からは逃げたいと思いました)。
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