Intelは、22nm FinFETプロセス適用デバイスで採用する、組み込みSTT-MRAM(スピン注入磁化反転方式の磁気抵抗メモリ)向け技術について、詳細を明らかにした。
Intelは、22nm FinFETプロセス適用デバイスで採用する、組み込みSTT-MRAM(スピン注入磁化反転方式の磁気抵抗メモリ)向け技術について、詳細を明らかにした。これにより、量産向けとして技術を適用する準備が整ったことになる。組み込みMRAMは、IoT(モノのインターネット)デバイスなどの用途向けとして有望視されている技術だ。
Intelは、2019年2月17日〜21日(米国時間)に米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された半導体集積回路技術の国際会議「ISSCC(IEEE International Solid-State Circuits Conference)2019」において論文を発表し、「1T1MTJ方式で、2段階の電流検出技術を採用することにより、22FFL(FinFET Low power)を適用して、7Mビットの垂直STT-MRAMアレイを作成した。同社は2018年に、半導体デバイスおよびプロセス技術の国際学会「IEDM 2018」において、同社にとって初となるFinFETベースのMRAMデバイスの開発に成功したとして、初期の段階で詳細を明らかにしていた。
IntelのエンジニアであるLigiong Wei氏は2019年2月19日に、ISSCC 2019の会場で発表した論文の中で、「今回発表した組み込みMRAM技術は、200°Cで10年間のデータリテンションを実現し、エンデュランスは106以上、読み出しディスターブは1012を超える」と述べている。
同氏は、「ただし、デバイスの製造にはエラー訂正符号(ECC:Error Correction Code)ビットが必要なため、設計の寸法やパワーバジェットが大きくなる」と付け加えた。
DRAMおよびNAND型フラッシュメモリは、メモリチップ分野で確固たる地位を築いてきたが、微細化が進むにつれ、課題に直面するようになってきている。そこで、長期的には、次世代不揮発メモリの一つであるMRAMが、有望な代替技術になるとみられている。
GLOBALFOUNDRIESは2017年から、22nm FD-SOI(完全空乏化型シリコン・オン・インシュレータ)プロセス「22FDX」を用いて、組み込みMRAMを提供してきた。しかし実際に、現在出荷している製品にこの技術を適用している顧客企業が存在するのかどうかは不明だ。
アナリストたちは、「Intelは現在、ファウンドリー顧客企業向けに出荷している製品に、同社の組み込みMRAM技術を適用している」と確信しているようだ。
さらにIntelは、今回のISSCCで発表した別の論文で、ReRAM(抵抗変化メモリ)の開発についても発表している。IoTや車載向けのSoC(System on Chip)に搭載される不揮発メモリにおける、低コストな代替技術として、発表したものだ。Intelによれば、このReRAMにも22nm FinFETプロセスを適用していて、「これまでで最も小型で、最も高密度なReRAMサブアレイ」(Intel)とする。また、材料の開発により、トランジスタの信頼性に影響を及ぼすことなく、低電圧スイッチングを行えるという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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