Advantech(アドバンテック)とインターネットイニシアティブ(IIJ)は、産業IoT(IIoT)分野で協業する。IIoTシステムを容易に導入することが可能な日本市場向け新サービス「WISE-PaaS JP」(仮称)を開発し、2020年1月より提供を始める。
Advantech(アドバンテック)とインターネットイニシアティブ(IIJ)は2019年8月21日、東京都内で記者説明会を行い、産業IoT(IIoT)分野で協業すると発表した。IIoTシステムを容易に導入することが可能な日本市場向け新サービス「WISE-PaaS JP」(仮称)を開発し、2020年1月より提供を始める予定だ。
アドバンテックは、産業用PCやエッジデバイスで強みを持つ。2016年にはIIoTに特化したプラットフォーム「WISE-PaaS」の提供を始めた。WISE-PaaSは、生産現場に設置された工作機械や産業用PCなどから、さまざまなデータをリアルタイムに収集し、製造ライン/設備の稼働状況を分析、可視化することで、稼働率の把握や予兆保全などを行うためのプラットフォームである。
一方、フルMVNO(Mobile Virtual Network Operator、仮想移動体通信事業者)であるIIJは、閉域モバイルネットワークや顧客専有型クラウド環境への閉域接続など、IoT用途に向けたセキュアネットワークサービスやクラウドサービスを提供している。特に注力している分野が、「エネルギー」や「ホーム」「農業」といった領域。これまで多くの導入実績を上げてきた。今回、アドバンテックとの協業により、製造業の領域でも本格的に取り組むことになった。
WISE-PaaS JPは、両者が強みを持つ技術とサービスを相互補完させる。これによって、IIoT構築に必要となる仕組みやサービスを、アプリケーションからハードウェア、クラウド、ネットワーク、セキュリティまでワンストップで提供することが可能となる。
WISE-PaaS JPには主に、3つの特長がある。1つ目は、アプリケーションからネットワークまでを一体化し、ワンストップで提供できる点だ。顧客にとってシステムの早期導入と開発負荷を軽減することが可能になるという。目的に適したエッジデバイスも同時に購入することができる。
2つ目は、セキュアなIIoTネットワークであることだ。閉域ネットワークで提供されるため、モバイルネットワークを含め、あらゆる種類のネットワークを安全に使用できる。
3つ目はオープン&マルチなシステムであることを挙げた。PaaSはオープンソースで構成されており、技術習得が容易である。また、さまざまなPLC(Programmable Logic Controller)メーカーの通信プロトコルに対応することができる。クラウドサービスや通信キャリアも複数サポートしており、柔軟に選択することができる。
アドバンテックとIIJは、「ドメインフォーカスSI(DFSI)」パートナーと連携し、さまざまな業界へWISE-PaaSの導入を加速していく。パートナーによるWISE-PaaS JPの展開については、アドバンテックと業務資本関係にありWISE-PaaSのプライムソリューションインテグレーターでもある日本ラッドと協力していく。ターゲット領域によっては、新たなDFSIパートナーも募集していく予定だ。
AdvantechのCTOを務めるAllan Yang氏は、「日本は産業機器の先進国であり、最優先市場だ。2カ月前にオムロン直方を買収した。ここが日本における設計・製造サービス(DMS)の拠点となる。(WISE-PaaS JPのビジネスを展開していくうえで)コミュニケーションやネットワークに強い会社と手を組みたいと考えた。マルチキャリア/マルチクラウドに対応しているのはIIJしかない」と述べ、排他的な協業関係を築いていく方針を示した。
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