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新型コロナの影響、セキュリティ市場が拡大へ非接触技術がけん引

“ポストコロナ”の世界は、バイオメトリクスやリモートアクセス、認証フレームワークなどの非接触技術が、セキュリティ市場をけん引していくだろう。

» 2020年07月07日 15時30分 公開
[George LeopoldEE Times]
画像はイメージです

 “ポストコロナ”の世界は、バイオメトリクスやリモートアクセス、認証フレームワークなどの非接触技術が、セキュリティ市場をけん引していくだろう。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を阻止するには、引き続きソーシャルディスタンスを確保していく必要があるため、仕事や教育、ヘルスケアなどのさまざまな分野に変化が生じるとみられる。業界観測筋によると、その中で恩恵を享受するのは、セキュリティ分野だという。

 米国の市場調査会社Frost & Sullivanは、景気回復に向けたさまざまなシナリオを発表している。コロナ禍以前の予測では、セキュリティ市場は、2025年までに年平均成長率3.1〜7.1%で伸びるとしていたが、現時点での今後5年間の年平均成長率予測は4.3%で、1406億米ドル規模に達する見込みだという。

 Frost & Sullivanで航空宇宙/防衛/セキュリティ市場担当アナリストを務めるDanielle VanZandt氏は、「セキュリティ市場はこれまで10年間にわたり、何の制約もなく前進してきたが、新型コロナウイルスの影響により、しばらくの間低迷状態が続くとみられる。将来的には同市場の大半が、サービスベースのソリューションを提供する方向へと移行していくだろう。ただしそれまで、今後数年間は、このようなソリューションの導入をためらう顧客が出てくる可能性もある」と述べている。

 今後もステイホーム(自宅待機)の要請が続けば、非接触技術の他にも、クラウドベースのセキュリティシステムによって、人間の警備員が置き換えられていくだろう。それに関連するプラグアンドプレイの監視システムの導入も進むとみられる。

 VanZandt氏は、「災害管理や銀行業務、資金管理、空港警備などのセキュリティ分野は、それぞれ回復ペースが異なるとみられる。コロナ禍以前の消費水準に戻るまでの期間も、大きく異なるだろう。市場をけん引する分野としては、港湾保安や、災害管理、緊急救援、大量輸送システムなどが挙げられる。これらの分野は、2025年までに年平均成長率4〜4.5%で伸びていく見込みだ」と述べている。

 さらに同氏は、「セキュリティ/監視向けセンサーネットワークの導入が進めば、非構造化データのロードが生じる。このため、セキュリティ企業はこれまで、データ分析機能をかなり重要視してきたが、今後は、ペタバイト規模のデータをふるいにかけてセキュリティ脅威を特定するという方向に移行していく必要があるだろう。また、このような分析/センサーネットワークは、レガシーシステムとの連携が不可欠なため、プラグアンドプレイのセキュリティプラットフォームに注力する必要がある」と述べる。

 Frost & Sullivanの2025年までの売上高予測では、最高額は約1650億米ドルだったが、これは、他の業界観測筋による世界セキュリティ市場予測の数値と合致している。例えば、米国の市場調査会社Grand View Researchはコロナ禍以前に、2025年までのセキュリティ市場の売上高を1671億2000万米ドルと予測していた。

 アナリストたちは、「もしコロナ禍が長引けば、セキュリティシステムの需要が増加して、クラウドプラットフォーム化も進んでいくだろう」との見解で一致している。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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