部門別の売り上げを見ていこう。WDは売り上げを3つの部門に分けて公表している。その3つとは、「データセンター用デバイス・ソリューション(Data Center Devices and Solutions)」部門、「クライアント用デバイス(Client Devices)」部門、「クライアント用ソリューション(Client Solutions)」部門である。
「データセンター用デバイス・ソリューション」部門には、エンタープライズ用HDD、エンタープライズ用SSD、データセンター用ソフトウェア、データセンター用ソリューションなどが含まれる。同部門の売上高は前四半期比(前期比)10.6%増、前年同期比32.2%増の16億8400万米ドルである。自宅で仕事を遂行する傾向が強まるなかでクラウド向けストレージの需要が増加した。特にエンタープライズ用SSDは、前年同期に比べて売上高が2倍を超えたという。
「クライアント用デバイス」部門には、ノートPC用HDD、デスクトップPC用HDD、コンシューマーエレクトロニクス用HDD、クライアント用SSD、組み込み用製品などが含まれる。同部門の売上高は前四半期比(前期比)4.6%増、前年同期比19.3%増の19億1600万米ドルである。自宅でオンライン学習を受ける、自宅で仕事の作業をするといった傾向が強まることでクライアント用SSDの売り上げが伸び、過去最高を更新した。半面、デスクトップPCとノートPCのストレージにおけるSSD比率が上昇しているため、クライアント用HDDの売り上げは漸減している。スマートビデオ向け製品はCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響で期待通りの収入とはならなかった。また新世代のテレビゲーム機器向けに、フラッシュ応用製品の出荷を開始した。
「クライアント用ソリューション」部門には、映像業務用HDD、映像業務用SSD、バックアップ用HDD、USBメモリ、SDカードなどが含まれる。同部門の売上高は前四半期比(前期比)16.3%減、前年同期比9.0%減の6億8700万米ドルである。COVID-19によるロックダウンによって数多くの販売店が休業したため、売上高が減少した。ロックダウンの解除とオンライン販売の増加に期待したいとする。
WDはNANDフラッシュ応用品とHDD製品の売上高や粗利益率(Non-GAAPベース)などの数値を公表してきた。2020会計年度第4四半期(2020年4月〜6月期)におけるフラッシュ応用品の売上高は前四半期比(前期比)8.6%増、前年同期比48.6%増の22億3800万米ドルである。粗利益率は30.5%で、前の四半期と比べて4ポイント上昇した。
フラッシュ応用品のビット換算の出荷容量は前の四半期と比べて8%増えた。記憶容量当たりの販売価格(GB単価)は前の四半期と比べて1%上昇した。
HDD製品の売上高は前四半期比(前期比)3.1%減、前年同期比7.6%減の20億4900万米ドルである。粗利益率は27.2%で、前の四半期と比べて2.1ポイント低下した。
HDD製品の販売台数はクライアントコンピュート(PC)向けが940万台、ノンコンピュート(リテールおよびコンシューマー)向けが690万台、データセンター向けが680万台である。前の四半期に比べるとクライアントコンピュート向けが30万台増加し、ノンコンピュート向けが110万台減少した。データセンター向けは50万台減少した。HDD製品全体の販売台数は2310万台である。前の四半期に比べて130万台低下した。
HDD製品の平均販売価格(ASP)は87米ドルで、前の四半期に比べて2米ドル上昇した。HDD製品の総出荷記憶容量は前の四半期に比べて2%低下した。
(次回に続く)
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