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16階調のセグメント表示が可能な液晶ドライバーIC車載の新興国市場向け

セイコーエプソンは2021年2月25日、車載ディスプレイシステム向けにセグメント液晶ドライバーIC「S1D15106」を開発し、量産したと発表した。

» 2021年03月15日 09時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

 セイコーエプソンは2021年2月25日、車載ディスプレイシステム向けにセグメント液晶ドライバーIC「S1D15106」を開発し、量産したと発表した。

 S1D15106は、中国やインドなど自動車の新興国市場をターゲットとした製品で、主にメータークラスター表示の用途に向ける。メータークラスター表示に使用するディスプレイは、日本や欧米のメーカーの自動車では大型化、高精細化が進んでいるが、これはどうしてもコストが高くなる。そのため自動車の新興国市場では、メーターなどのフレキシブルな表示が必要な部分にはTFT液晶を使い、インジケーターやアイコンなど、固定の表示で済む部分にはセグメント液晶を使うという、比較的安価なコンビネーションタイプの車載ディスプレイを採用する自動車が増えている。セイコーエプソンは「日本や欧米ではニーズは少ないが、新興国市場では増えている」と語る。

新興国市場では、コストを抑えるためにTFT液晶とセグメント液晶を組み合わせる車載ディスプレイの搭載が増えている。「S1D15106」は、上記右側の図の「SEG」と書かれた部分を表示できる。1個で左右と中央の表示を行える 出典:セイコーエプソン(クリックで拡大)

 S1D15106の液晶駆動出力は、セグメント出力が368本、コモン出力が1本。スタティック駆動による高いコントラストの実現と、PWM(パルス幅変調)方式による16段階の階調表示ができることが特長だ。「高い階調を実現すると、よりきめ細かい表現ができるようになり、高級感を出すことができる」(セイコーエプソン)

 表示安全機能も搭載している。「アイコンがきちんと表示されているかをモニタリングする機能だ」とセイコーエプソンは説明する。具体的には、S1D15106の出力ワイヤ(表示用に電圧を印加するためのワイヤ)の他にもう1本ワイヤを接続し、電圧をモニタリングする。これによって、例えば出力ワイヤが断線するなどの不具合が発生しても検知できるようになる。さらに、表示の異常が検出されると、マイコンからの制御でドライバー出力端子を切り替え、表示を復旧させることも可能だ。「この表示安全機能は、かなりこだわって開発した」(セイコーエプソン)

S1D15106の3つの特長 出典:セイコーエプソン(クリックで拡大)

 S1D15106の動作温度範囲は−40〜105℃。AEC-Q100に準拠していて、ISO 26262の認証を取りやすくなっている。

 サンプル価格は500円。月産10万個を予定していて、出荷は2021年春ごろとなる見込みだ。

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