最近発表された予測によると、2021年第2四半期におけるエンタープライズ向けクラウドの消費量が、4四半期連続で増大する見込みだという。これだけでも、世界クラウド市場がいかに速いスピードで成長しているかが分かるのではないだろうか。
最近発表された予測によると、2021年第2四半期におけるエンタープライズ向けクラウドの消費量が、4四半期連続で増大する見込みだという。これだけでも、世界クラウド市場がいかに速いスピードで成長しているかが分かるのではないだろうか。
クラウド市場の調査会社である米国Synergy Research Groupは、「このようなレベルの年間成長率は、クラウド市場のような大規模な高成長市場としては異例のことだ」と指摘する。
さまざまなアナリストたちが、こうした傾向は続くと予測していることから、エンタープライズクラウド市場は今後も拡大していくとみられる。
Synergy Research Groupは、2021年7月29日(米国時間)に発表したレポートの中で、「世界クラウド市場は2021年第2四半期に、前期から27億米ドル増となる420億米ドル規模にまで拡大する見込みだ。これは、前年同期比39%増という目覚ましい成長である」と述べている。
世界市場シェア全体のうち、Amazon Web Services(AWS)が3分の1を占める。さらにMicrosoft「Azure」とGoogle Cloudが合計で残りの3分の1を占め、その次に続くクラウドプロバイダー20社が約28%のシェアを占める。また、AlibabaとTencentが世界クラウドプロバイダーの2番手の位置にあることから、成長著しい中国の需要が反映されているといえる。
Synergy Research Groupのチーフアナリストを務めるJohn Dinsdale氏は、「クラウド市場は引き続き、AmazonやMicrosoft、Googleの他、一部のクラウドプロバイダーにとって、拡大し続けるサクセスストーリーとなっていくだろう」と述べる。
「通常であれば、このように急激な成長を遂げる大規模市場において、成長率が実際に伸び続けるとは予測できない。しかし繰り返しになるが、当社の調査結果からそれが証明されているのだ」(Dinsdale氏)
さらに同氏は、「このような成功は、苦労してやっと得られた成果だといえる。AmazonとMicrosoft、Googleの設備投資費は、3社合計で1四半期当たり250億米ドルを上回る。その資金の大半が、340超に及ぶハイパースケールデータセンターの建設/設備に投じられているのだ。また、クラウド市場が継続的に拡大することにより、既存メーカーや新規プロバイダーには、オンラインショッピングの増加やホームオフィスの一般化のように、さまざまなチャンスがもたらされるだろう」と述べている。
Synergy Research Groupが発表した、クラウドサービス市場の売上高に関する予測の中には、ホスト型プライベートクラウドの他、インフラやプラットフォームサービスなども含まれている。インフラとプラットフォームサービスは、第2四半期中に41%増加し、四半期市場成長の中でも最大のシェアを占めている。
エンタープライズクラウドの顧客企業は引き続き、ベンダーが、AWSによって優位性が確立されている技術分野の範囲内に閉じ込められてしまうのを回避するための手段として、マルチクラウドとして知られるヘッジ戦略を採用するだろう。マルチクラウド手法は、例えばトップ5社だけで公共部門全体の80%を確保するなど、他のクラウドベンダーにもメリットを提供している。
この他にも複数の市場調査会社が、「クラウド需要は今後も長期間にわたり、果てしなく成長し続けていくだろう」と予測している。例えば、テクノロジーコンサルタントのTechnavioは、2025年には世界のクラウドコンピューティング市場が2870億米ドルを超えると予測している。これは、年平均成長率17%に相当する。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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