A1:通説によれば、「ワクチン接種拒否者はコロナに感染した場合に多くのウイルスを排出し、多くの人に感染させ、結果として流行の媒介として社会に多大な迷惑をかける」という意見を多く耳にします。果たしてこれは、本当に正しいのか ―― と自問してみました。
この点については医療従事者でもうっかり忘れてしまいがちな統計結果が存在しています。それは「一人の感染者数が次の人に感染させる数(再生産数)は正規分布を取らない」という事実です。
ニュースで取り上げられることは皆無(シバタ視聴の範囲では)ですが、実効再生産数は最頻値ではありません。あくまでも平均値です。具体的には図(出典はこちら)を参照してください。
この資料のスライド35の左の図のように、どちらかというと、指数分布に乗った分布を取ります。その後も厚生労働省の発表に変化は無く「他の人に感染させている人は、感染者の2割以下である(参考資料)」という認識が現在(2021年9月)まで続いています。
ウイルス学的にも、感染のしやすさによる実効再生産数(Rt)の変化はあれども、次世代感染者数の分布図が指数分布に乗るという感染様式自体は変わることが無いと考えられます。
さて、これは何を意味するのでしょうか。前述の図のグラフの出典に既にその回答が載っているわけですが、ぶっちゃけ流行初期から散々言われてきたことの繰り返しです。つまり、「感染者のうちの極一部がスプレッダーとなりクラスターを形成し、そのクラスターから次のスプレッダーが発生する。この連鎖が指数関数的な感染者数の増加を引き起こす」というものです。
この感染様式を単純化すると「3密 and/or 5つの感染しやすい状況を行き来する人間にコロナが感染した時にクラスターが発生する」ということです。誤解を恐れず分かりやすい言葉を使うと、「3密 and/or 5つの感染しやすい状況を顧みない『おバカ』がクラスターを作り、おバカの連鎖がクラスター連鎖を作る」と言えます。
この「おバカ*)」という低能1人が、感染拡大の主原因になっている。
*)申し訳ありませんが、私はシバタ先生のように、「おバカ」などと上品には言えなので、私の内なる心の叫ぶ声に従って、以下、素直に「バカ」と書きます(低能、無知、無能、あほう……とまでは書きませんが)。
「スーパースプレッダー」=「バカ」(ただし、医療、育児、教育、介護等の労働環境に従事されている方を除く)
そして、この次世代感染者数分布のグラフから言えることは、実効再生産数の分子にあたる数字(「Rt≒次代感染者数/現在感染者数」の「次代感染者数」に当たる部分)はスプレッダーの数と連鎖に強く依存します。
もちろん、「ブラック企業で出勤を強いられる」「社会的に不可欠な密集集団(保育所、小学校、老人保健施設など)」といった、個人の責任とすることが難しいケースも多いでしょう。
また、「おバカ」の移動経路上でたまたま巻き沿いを受けるケースも相当数あると思います。いわゆる感染経路不明というケースです。
ですので「おバカ」という単語のチョイスには批判もあるでしょう。この点にあえて目をつむり極論であることを承知していただいた上で、かつ、分かりやすさ最優先で単純化すると……。
「おバカが多い時期は流行が急拡大し、おバカの感染が一巡しておバカ連鎖が途切れると流行が終息する」という表現が成り立ちます。その状況に居合わせる人間は大抵おバカの類型なので、そこから波及して2次クラスター、3次クラスターが発生するわけです。
この「バカ」グループが、感染の爆発的拡大の主犯
おバカの連鎖の勢いが弱まる状況……具体的には「緊急事態宣言による締め付け」「新学期のスタート」「おバカですら恐怖を感じる流行のオーバーシュート」が重なると、おバカの活動性が低下します。
さらに、連鎖に必要なおバカ集団も、無限に存在するわけではありません。感染の連鎖に必要なおバカ集団の残機数は指数的に消費されるので、ある時期に急速に連鎖が止まるという挙動を示す可能性があります。第5波の収束にもそのような機序が働いたのではないかな、と個人的には考えています。根拠はありませんが。
『第5波収束は、「バカ」の行動を抑え込んだため』、という"シバタ仮説"
疑ってしまって申し訳ないのですが、オリンピック関連のお仕事をされている方の中で、なんとなく体調が悪いけれどもどうしても休めずにそのまま仕事を強行して、そのまま治ってしまったひとはいらっしゃらないでしょうか?
また、オリンピックの開催を正当化の理由にしてワイワイ騒ぎ、おバカ連鎖をつないでしまった、そんな人はゼロと言えるでしょうか?オリパラ終了後&夏休み終了後に急速に終息に向かった第5波の状況を見て、思わずうがった見方をしてみたくなったシバタなのでした。
さて少々脱線してしまいましたが、このように一部の「おバカ」が感染の指数関数的な増加に重大なウエイトを占めているという事実を踏まえると、冒頭の問である「ワクチン接種拒否者が社会的に悪影響を与えるか」の答えは「ワクチン接種拒否者がおバカか否かにより決まる」、つまり、「ワクチン接種を拒否したことが即座に社会的に不利益と断言することはできない」と言えるのではないでしょうか。
「ワクチン接種をしたあと騒ぐバカ」と、「ワクチン接種をしないが理性的な行動する人」なら、後者の方が、はるかに社会の利益になっている
台湾の感染者数が非常に低いレベルで抑えられていることは有名です。これは保健機関による徹底したクラスター管理と3密 and/or 5つの感染しやすい状況の回避を徹底し、「クラスター連鎖を阻止する」=「おバカ連鎖を遮断する」ことに成功しているからだと分析されています。
台湾のワクチンの2回接種完了者は2021年9月末時点で人口の10%未満です。にもかかわらず、台湾がほぼ完璧な感染制御を行うことができているという事実は、ワクチン接種を拒否することが社会的リスクに直結しないことの傍証と言えるでしょう。
『ワクチン接種10%未満の台湾で、感染コントロールが成功していることは、どう説明できるんだ?』と反論できます
蛇足ですが、西欧文化圏の流行についてGoogleでグラフを検索してみると、ピークがイースター、クリスマスから新年、夏期休暇前後に一致する国がちらほらあります。また、日本の感染ピークも、なんとなく夏休み、年末正月、春休みといった「おバカ」の発生率が高そうな時期に一致しているように見えます。
さらには、2021年7月にワクチン接種が一巡したことを理由に感染対策ルールを撤廃したイギリスでは、その後1日当たり3万人前後の感染が現在まで続いています。統計学的、行動学的な根拠はありませんが、個人的には日本においてことし(2021年)の年末から年始にかけてきっと第6波が来るのだろうな……という予感がしています。
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