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» 2021年11月01日 11時30分 公開

「コロナワクチン接種拒否」に寄り添うための7つの質問世界を「数字」で回してみよう(68)番外編(6/14 ページ)

[江端智一,EE Times Japan]

“悪魔の計算”再び

 そこで、今回は、米国の「平均年齢1.5歳低下」をケーススタディとして、この状況をそっくりそのまま日本に適用したらどうなるか、すなわち、日本の社会保障費用の中の介護保険料がどうなるかを、『介護サービス市場を正しく理解するための"悪魔の計算"』で使ったシミュレーターを再稼働して、試算してみました。

 まずは、日本のコロナ死亡者数の比率を、グラフで確認してみましょう。

 これまでは「高齢者だけを襲う病気」のイメージが大きかったですが、最近、ワクチン接種率を正確に反映して、徐々に年齢が低下しつつある傾向が見られます。今回のシミュレーションでは、このコロナの死亡者の比率を、コロナ禍発生前の死亡率に「上乗せ」する、という方法にして、平均年齢を1.5歳減らすように、死亡率を調整しました*)

*)シミュレーションで使ったエクセルの表はこちらからダウンロードしてください。

 こちらが人口比を考慮した、介護費用比率のグラフになります。

 さらに、介護費用は、ざっくり総計10兆円として、この形の比率のまま用いることにします。つまり、高齢者以外のコロナ死亡者の存在は、今回考慮しない、ということです ―― 若い人の死亡は、介護費用に影響を与えないからです。

 では、シミュレーション結果を以下に示します。

 男性と女性で差はありますが、アメリカのコロナ禍と同じ状況を日本に作り出せれば、ざっくり10%の介護費用(約1兆円)の削減が実現されるメドが立ちました。

 せっかく苦労してシミュレーターを作ったので、現在のアメリカよりも、さらにひどいコロナ禍を作り出して、介護費用の削減を計算してみました。その結果、コロナ禍を適当に調整(放置)して、平均寿命を6年縮めることができれば、3.3兆円の介護費用を削減できることが分かりました。

 1兆円は、かなり大きいコストですが、日本国全体とすれば、微妙な値です。そもそも、これ、アメリカの(悲惨な)状況を適用したものであり、日本では、このようなコロナ禍による大量死は発生しておりませんし、これからも発生しないでしょう。

 それと、コロナ経済損失は、30兆円以上と言われているので、相対的に小さい値ですし、さらに、忘れてはならないのは、高齢者介護によって生み出されている経済効果が吹き飛ぶ、ということです。簡単な人口比から算出すれば、日本で高齢者のコロナ死亡者数は25万人を越えます。

 高齢者1人当たりに関わっている人間は、施設関係者だけでも3人以上ですので、その関連人数を入れれば、ざっくり100万人レベルの失業が発生することになります。この場合の経済損失は、1兆円程度では済まないでしょう。こちらにも書いていますが、今や高齢者介護は、現在の日本の経済を回す巨大ビジネスなのです(関連記事:「介護サービス市場を正しく理解するための“悪魔の計算”」)。

 結論を申し上げると、コロナウイルス/ワクチンによる高齢者の大量殺害仮説は棄却です。トクする人が誰もいないからです。

 同様に、ワクチンによる死亡を誘導する陰謀論も、ほぼ全て全滅と断言できます。理由は単純明快です。陰謀によって利益を得られる人間が登場してこないからです。

―― フェイクニュースの発信者と、その便乗ビジネス事業主を除けば。

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