Xilinxは2022年、ロボティクスとFA(ファクトリーオートメーション)分野への投資を拡大する。「これらの投資は、われわれの未来の成長を決めるものとなる」とKhona氏は強調する。「Kria SOMの初期のターゲット市場はスマートシティーなどにおけるビジョンAIだった。これを、ロボティクスやFAを含むさまざまなユースケースへと拡張していく」(同氏)
Khona氏は、「とりわけロボティクスは、エッジでのリアルタイム制御やインテリジェンスを実現する強力なアプリケーションである」と説明。これに対し、Xilinxが提唱する「アダプティブコンピューティング」(特定のアプリケーション向けに最適化できるハードウェア)は、再構成可能な独自のコンピューティングアーキテクチャや高度なパイプライン処理、低レイテンシ、高い電力効率といった利点をもたらすことができると強調した。
さらに、「将来的なロボティクス技術で求められるとされる、ハードウェアアクセラレーション、オープン性、モジュール型の汎用ハードウェア、リアルタイムシミュレーションといった要素は、まさにXilinxが投資してきた分野だ」と続けた。
「日本の顧客企業や東京大学とも協業して、ロボティクス分野での取り組みを開始している」(同氏)
Xilinxは、Kria SOMをロボティクス分野に拡張するためのソフトウェアソリューション「KRS(Kria Robotics Stack)」を提供している。これにより、ロボット開発用の統合ソフトウェアプラットフォーム「ROS(Robot Operating System) 2」の処理を高速化できるとした。
FA分野では、工場におけるローカル5G(第5世代移動通信)への投資を拡大する。「特にTSN(Time Sensitive Networking)が重要になっていく。3GPPは、TSNをゲートウェイとして活用し、工場の有線と無線のネットワークをつなげる規格の標準化を進めてきた」(Khona氏)
そこでXilinxは、TSNとローカル5Gをつなぐための「トランスレータ―IP(Intellectual Property)コア」を開発している。具体的には、Xilinxの既存のTSN IP(Intellectual Property)と、5Gモデムのインタフェースを接続する。このトランスレーターIPコアは、2022年下半期に提供を開始する予定だが、「遅れたとしても2023年には提供を開始したい」とKhona氏は述べた。なお、トランスレーターIPコアは、物理層のすぐ上のレイヤーで機能するという。
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