なお、福島県沖地震の影響は左下図の通りで、2022年度第1四半期には売上高で7億円、営業利益(Non-GAAPベース)で12億円、営業利益(GAAP)で21億円のマイナス影響があった。また同第2四半期についても、売上高26億円、営業利益(Non-GAAPベース)16億円、営業利益(GAAP)で25億円のマイナス影響を見込んでいる。同社社長兼CEO(最高経営責任者)、柴田英利氏は、「われわれ自身のリカバリーの努力のほか、製造パートナーの非常に踏み込んだサポートや、顧客サイドでのいろいろな努力があった結果、一定程度、影響は封じ込めることができている」と述べた。
右下図は、同社における前工程稼働率の四半期推移をウエハー投入量ベースで示したもので、2022年度第1四半期の稼働率は85%強だった。同社は福島県沖地震および停電による生産への障害を挽回すべく、2022年3月後半からウエハー投入量を増やしているといい、柴田氏は、「工場の稼働としては見た目、非常に高い稼働になっているが、それがそのまま先々の売り上げに直接結び付くわけではないことを留意してほしい」と補足していた。
足元では中国のロックダウンが長期化し多くの企業活動に影響を及ぼしているが、この問題に関し柴田氏は、「当然、物流の混乱や、今のところ大丈夫だが、われわれの後工程工場への影響が分からないのは事実だ。さらに分からないのが需要側で、予想から下振れのリスクが全くないとは思わないが、なんとか吸収できるレベルだろうと判断している」との見解を示した。
また、ロシアのウクライナ侵攻によって、半導体製造に欠かせない希ガスなどの材料調達に影響が出ることが懸念されているが、柴田氏は、「当面は大丈夫だろうとみている」と説明。その上で、「3月初旬に比べすいぶん様相が変わってきており、今後も長期化するという前提でいろいろな見直しを進めている」と続けた。
相次ぐサプライチェーンの混乱に関し、柴田氏は、「物流に代表される出荷リスクは恒常的にある。昨年にも、マレーシアの後工程がずいぶんコロナの影響で混乱をきたした。そういったものは今後も継続していくだろうし、『ニューノーマル』という風に考えている」と語っていた。
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