こんにちは、江端智一です。『「お金に愛されないエンジニア」のための新行動論』の第3回目です。今回も、定年がスコープに入ってきた私(江端)の、なにふり構わないドタバタの日々をご紹介したいと思います。
今回は、(1)NISAで金融商品買ってみた、(2)金融商品自動売買ツールに着手してみた、(3)定年後の孤独について考えてみた、の3点をお送りしたいと思います。
では最初に、前回ご紹介した、”Hello World アプローチ” ―― 『まずは、NISAを使って、金融商品を一つ買ってみる』についての続きから始めたいと思います。
というわけで、ネット証券口座を開いても、すぐにNISAを使って金融商品を購入できない、ということに軽くショックを受けつつ(何が『数日で始められる』だ!) ―― とにかく、SBI証券からの連絡を待ちました。
こんなに処理に時間がかかっているのは、大学時代に私が自治寮の寮長をやっていたことや、2回ほど参加したデモが理由で公安のブラックリストに入れられているとか、さらには、日本国政府の「ペルソナ・ノン・グラータ」のリストに入っているとか ―― いやいや、私のような小物を記載していたら、公安や政府の書類のリストは、数千万人単位になってしまうだろう、とか、もんもんと考えているうちに、SBI証券からメールが届きました。
遅い ―― 審査って、こんなにかかるものなのでしょうか?
先月のコラムでは、SBI証券口座を開くまでの、”すったもんだ”を記載しましたが、今月、NISAで、もう一回、列に並ぶことになるとは思いませんでした。
『うん、この調子でいくと、まだ、数ラウンド残っているだろう』と思い、もう、何も考えずに、『とりあえず、なんでもいいから、深く考えずに、1つ買うのだ』と決意しました。ここで迷っていたら、多分いつまで経っても始まらない、という確かな予感がありました。
しかし、いざ、ネットで証券を買う、と考えたら、結構な恐怖を感じました。
こういう恐怖って、これまでもあったなぁ、とか考えていました。自宅の土地を購入するため不動産の店舗で、印鑑を押した時のようなリアルな場面もありましたが、初めてAmazonで商品を購入した時、ネット銀行(PayPay銀行、旧ジャパンネット銀行)なる怪しげな金融期間に送金をした時のようなサイバーな場面も、怖かったです。
そして、私は、現実に、ネットで詐欺に遭ったことがあります*)。
*)関連記事:「“ネットワーク研究者”がネット詐欺に遭った日」
警察や消費者センターの絶望的なITに関する無知*)と、ネット犯罪に対して、被害者救済の手段が「(ほとんど)ない」ことも、知っています ―― 私の場合、技術的にも理解している分、恐怖も大きいのです。
*)関連記事:「その時、警察は何をしてくれるのか?」
ともあれ、「ネットコマース」であれ、「銀行」であれ、「証券」であれ、”自分が”、”ネットで”、”金が動かす”、ということは、それだけで十分な恐怖です。
江端家では、2005年からAmazon.comで購入した商品の総計が1109件を越えました。
今やAmazon.comは、水道、ガス、電気、インターネットと同レベルの、江端家の生活インフラです。
多分、ネット銀行も、ネット証券も、月日と取引数を経ることでしか、安心・安全を実感することはできないのだろうと思います。そういう意味では、私は、ネット銀行、ネット証券ともにスタートが遅すぎたと言えます。
ちなみに、私が所属している研究部の名称は「セキュリティ・トラスト研究部」です(今年度からですが) ―― ネットの安全・安心に関する研究員が、この様(ざま)です。笑ってやってください。
でも、ネットをどれだけ安全・安心にしたって、その終端にいる人間に『悪意』があれば、手の打ちようもないのも事実なのです。
閑話休題。
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