2つ目が、モーターソリューションに必要な半導体コンポーネントを開発、製造するための、RFQ(Request for Quotation)スキームの確立と実行だ。具体的には、半導体の仕様などを記載したRFQを複数のサプライヤーに対して発行する。それに対するサプライヤーからの回答を基に、複数のサプライヤーを選定し、スピーディな開発と製造を実現できる体制を構築する。「自分たちが求めるQCD(品質、コスト、納期)にマッチした半導体を開発、製造するには、いかにRFQをしっかり書いて提案できるかが重要になる。これは日本メーカーが最も苦手とするところでもある。欧米の優秀な競合はこうしたスキームを実行しており、当社としてもこれを目指したい」(大村氏)
こうしたRFQのスキームを確立することで、半導体サプライヤーとのミスコミュニケーションの低減や、リスク管理の強化につなげる。「半導体サプライヤーは、製造について長期の保証がほしい。そうすれば安心して、投資や材料の手配ができる」(大村氏)
さらに、価格交渉をはじめとした交渉作業の負担も減らせると大村氏は強調する。「深刻な半導体不足で、営業や購買の担当者が日々、交渉で疲弊している。こうした状況をとにかく何とかしたい」と同氏は訴えた。
1つ目、2つ目のステップを確実に実行することで、3つ目のステップである統合モーターソリューションの開発と提供を目指していく。
記者説明会では「日本電産が工場を持ち、半導体コンポーネントを自ら製造する可能性があるか」という質問も出たが、それに対し大村氏は、海外の半導体トップベンダーは、自分たちできっちりとRFQを書き、開発/製造委託をすると強調。「かつて半導体サプライヤーに所属していて最も強く感じたのは、“RFQを書ける人がいてほしい”ということだった。そのため、まずは自分たちでRFQが書けて、パートナーに『開発したい、製造したい』と思わせることが重要だ。それが、私にとっての“Make”である」(大村氏)
さらに大村氏は、「自分たちがどれだけ強いIP(Intellectual Property)を持っているかが最も重要だ。日本電産の製品が外部のIPだらけの構成ならば、それは日本電産の“内製”とは言えないのではないか」と語り、最も重要な核となる部分のIPは自分たちでしっかり開発しつつ、それ以外の周辺部分は、それぞれに強みを持つパートナー各社と協業しながら、最先端のモーターソリューションの開発と、必要なコンポーネントの安定調達を目指すことを示唆した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.