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シングルプロセッサで200億パラメーターを持つAIモデルを学習Cerebrasのウエハースケールエンジン(3/3 ページ)

» 2022年07月08日 13時30分 公開
[Sally Ward-FoxtonEE Times]
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幅広い業界へ与える影響は?

 NLPモデルは非常に大きくなっているため、実際には、演算コストとエンジニアリング時間の両方の観点において、NLPモデルをトレーニングするための十分なリソースを持つ企業はほんの一握りだけだ。

 Cerebrasは、CS-2システムをクラウドで利用できるようにし、顧客が必要とするエンジニアリング時間とリソースの削減を支援することで、より多くの企業が(大規模なシステムエンジニアリングチームを持たない企業でも)大規模モデルのトレーニングを利用できるようにしたいと考えている。NLPと同様に、科学および医学研究の加速も支援していくという。

 CS-2は1台で数千億から数兆のパラメーターを持つモデルをトレーニングできるため、現在のネットワークだけでなく、未来の巨大ネットワークにも十分対応できる。

Cerebrasの実際の活用例は?

 バイオ医薬品企業のAbbVieは、バイオメディカルNLPトランスフォーマーのトレーニングにCS-2を使用している。これにより、同社の翻訳サービスでは、生物医学文献の膨大なライブラリを180の言語で検索できるようになった。

 AbbVieのAI責任者を務めるBrian Martin氏は声明の中で、「BERTLARGEモデルのプログラミングとトレーニングでわれわれが経験する共通の課題は、十分なGPUクラスタリソースを十分な時間提供することだ。CS-2システムは、ウォールクロックを改善してこの課題の多くを軽減すると共に、よりシンプルなプログラミングモデルによって、チームがより多くのアイデアより迅速に繰り返し、テストできるようになるため、サービスの提供を加速することが可能になる」と述べている。

 GlaxoSmithKlineも、エピゲノム研究にCerebrasの第1世代のシステムであるCS-1を使用している。このシステムは、他の方法では不可能なほど大規模なデータセットでネットワークをトレーニングすることを可能にした。

 Cerebrasの他のユーザーには、バッテリー、バイオ燃料、風の流れ、掘削、CO2貯蔵のシミュレーションを高速化するためにCS-2を使用しているTotalEnergiesや、物理ベースの計算流体力学をCS-2で高速化しているNational Energy Technology Laboratory、CS-1をコビット19研究と抗がん剤に使用しているアルゴンヌ国立研究所など、多くの事例がある。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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