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「AI導入が医療機器の世界を変える」、NVIDIA担当者が語る超音波診断やMRIなどで広がる活用(5/5 ページ)

» 2022年08月25日 11時30分 公開
[Sally Ward-FoxtonEE Times]
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限られるトレーニングデータ量への対処

 医療機器におけるAI導入を妨げているもう一つの問題は、医療用AI、特に希少な病気や状態を探すためのトレーニングに利用できるトレーニングデータの量が限られていることだ。ここでの解決策は、より多くのAI、具体的には、特定の疾患に対する合成トレーニングデータを作成するためにAIを使用することだ。NVIDIAとキングス・カレッジ・ロンドンは最近、NVIDIAのスーパーコンピュータ「Cambridge-1」を使用し、認知症、パーキンソン病、その他の脳疾患の理解を加速させるAIアプリケーションの構築に使用できる10万枚の脳の合成画像のデータセットを作成することを発表した。

 AIは、女性や若者、特定の疾患を持つ人など、実際のデータセットでは十分なサービスを受けられない可能性がある特定の層の脳の画像を作成することができる。同チームは、医療用画像のあらゆるモード(MRI、PETスキャン、X線など)における人体解剖学のあらゆる部位に適用範囲を拡大する方針だ。

医療用AIアルゴリズムの開発

 最後の要因は、医療用AIアルゴリズムの開発だ。これに取り組むため、NVIDIAは医療特化型AIフレームワーク「MONAI」を構築した。MONAIには、データのラベル付け、合成データの作成、モデルの訓練、実世界でのモデルの検証、そしてそれらをClara Holoscanプラットフォームに接続し展開するために必要な全てのツールが含まれている。このオープンソースプラットフォームは、医療画像特有のフォーマット、解像度、メタデータに最適化されている。

 Powell氏は、「以前は、AIの研究施設に関わる富裕層や有名人だけが、AIを活用した医療にアクセスできた。われわれは、それを利用しやすくしようとしている」と説明。新しい医療論文が発表されると、迅速にMONAIに追加しているという。

 Powell氏は、「オープンソースのサイエンスフレームワークに取り込むことで、世界中がすぐにそれを再現し、構築することができるのだ。AIコミュニティーがオープンサイエンス、オープンイノベーションの世界を世界に広めたからこそ、イノベーションのスピードが速くなったのだ。私は、AIが安全で生産的であり続けるためには、AIは民主化されるべきだと考えている」と語った。

【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】

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