現在、中国メーカーはスマートフォンだけでなく多くの分野で専用AIプロセッサを開発していて、REGZAのハイエンドTVにもHisenseが開発した「HV8107」、自動追従カメラにはIngenic SemiconductorやSigmaStarなどのAIプロセッサが採用されている。当社では、いずれも開封、解析済みなので、興味のある方はぜひお問い合わせいただきたい。
vivo V2はTSMCの6nmで製造され、18TOPSという高い演算性能を持っている。vivo V1、V2ともにチップ開封解析済だ。どちらのチップも非常に理にかなった構成になっている。2チップを立て続けに開発して製品化していることからも、vivoが半導体に注力していることが伺い知れる。vivo X90 Proのメインプロセッサは台湾MediaTekの新プロセッサ「DIMENSITY 9200」である。TSMC 4nmで製造され、Armの現在最上位CPU コアである「Cortex-X3」を採用した3階層CPU構成となっている(「Cortex-X3」×1 + 「Cortex-A715」×3 + 「Cortex-A510」×4)。
図6は、vivo X90シリーズの最上位機種vivo X90 Pro+の分解の様子である。ミドルハイとほぼ同じ内部構造だが、カメラ部の面積が増えていて、光学ズームカメラが追加された4眼カメラとなっている。メインのワイドカメラはミドルハイと同じ5030万画素。光学ズームカメラが追加されたことでプロセッサ基板部の面積はかなり小さくなっている。電池はミドルハイと同じ2個搭載している。
図7に、vivo X90 Pro+の基板を示す。基板はミドルハイと同じく2階建て構造。2階にはvivoのV2プロセッサ、1階にはQualcommの最新プロセッサ、「Snapdragon 8 Gen 2」が採用されている。
Snapdragon 8 Gen 2はTSMC 4nmで製造され、MediaTekの「Dimensity 9200」と同じくArmのCortex-X3が最上位CPUとして採用されるチップだが、4階層構造のCPUを搭載するというユニークなプロセッサとなっている(「Cortex-X3」×1 + 「Cortex-A715」×2 + 「Cortex-A710」×2 + 「Cortex-A510」×3)。詳細は、来月以降の本連載(あるいは当社のセミナー)でMediaTekのDimensity 9200とQualcommのSnapdragon 8 Gen 2の比較として報告したい。両チップとも最先端の製造技術を用い、最先端CPUを搭載した製品となっている。
なお、本稿では説明する上で、X90 Pro+をハイエンド、X90 Proをミドルハイに位置付けだが、実際には両機種ともハイエンドである。
表1に、今回報告した3機種の主要部品をまとめた。ともにXiaomi、vivoの独自チップを用いているという特長がある。また、Xiaomiも既にSnapdragon 8 Gen 2を採用した「Xiaomi 13」を発売していて、2023年もスマートフォンの進化はまだまだ止まらないという状況である。2023年は、ひょっとすると3nmプロセッサがお目見えする可能性もある。スマートフォンから、ますます目が離せない。
2023年2月14日から3月17日までの会期で実施するオンライン展示会「ITmedia Virtual EXPO 2023 春」(主催:EE Times Japanなど)で、本連載の筆者である清水洋治氏が、最新プロセッサの分解をテーマに講演します。
Virtual EXPOの“定番”ともなっている清水氏の人気講演。今回は、Intel/AMD/NVIDIAのチップ内部の詳細を解説します。
ぜひ、ITmedia Virtual EXPO 2023 春にご参加いただき、ご視聴ください。(編集部)
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