応用分野別の売り上げを見ていこう。WDは売り上げを3つの分野に分けて公表している。すなわち、「クラウド(Cloud)」(パブリックあるいはプライベートのクラウド向け)、「クライアント(Client)」(直接販売、あるいは代理店経由の販売によるOEM向け)、「コンシューマー(Consumer)」(リテールその他の販売チャンネルによる一般消費者向け)、の3つである。
「クラウド」分野の売上高は前四半期比(前期比)33%減、前年同期比36%減の12億2400万米ドルである。全体の売り上げに占める比率は前期から10ポイント低下して39%となった。クラウド向けとスマートビデオ向けのエンタープライズ大容量HDDに対する需要が弱く、前期比を下げた。一方でフラッシュ製品が増加し、一部ながら売り上げの低下を緩和させた。前年同期比の売上減は主に、HDD製品の在庫調整によるものである。
「クライアント」分野の売上高は前四半期比(前期比)11%減、前年同期比41%減の10億8900万米ドルである。全体の売り上げに占める比率は前期から2ポイント上昇して35%となった。前期比減は主に、フラッシュメモリの価格低下によるもの。HDDの出荷が増加したことが、減少を補った。前年同期比の売り上げ減は、PC向けSSD出荷減とフラッシュメモリの値下がりが大きな要因だとする。
「コンシューマー」分野の売上高は前四半期比(前期比)17%増、前年同期比25%減の7億9400万米ドルである。全体の売り上げに占める比率は26%で、前期から8ポイント上昇した。前期比の増加は季節要因によるもので、リテールでフラッシュ製品とHDD製品の販売が増えた。ただし前年同期比では、リテールのHDD出荷は減少しており、フラッシュの価格低下も前年比を押し下げた。
次は製品分類別の業績である。WDは「フラッシュ応用品」と「HDD製品」の売上高や粗利益率(Non-GAAPベース)などの数値を公表してきた。
2023会計年度第2四半期(2022年10月〜12月期)における「フラッシュ応用品」の売上高は前四半期比(前期比)3.8%減、前年同期比36.8%減の16億5700万米ドルである。粗利益率は15%で、前期の25%から10ポイント減と大幅に下落した。2四半期連続の2桁ポイント減である。
フラッシュ応用品のビット換算の出荷容量は、前の四半期から20%減少した。記憶容量当たりの平均販売価格(GB単価)は、全製品(Blended)で前四半期から20%減、同一製品(Like-for-like)で13%減といずれも大きく低下した。
2023会計年度第2四半期(2022年10月〜12月期)における「HDD製品」の売上高は前四半期比(前期比)28.0%減、前年同期比36.4%減の14億5000万米ドルである。粗利益率は21%で前期から8ポイント低下した。
HDD製品の販売台数は、クラウド向けが550万台、クライアント向けが400万台、コンシューマー向けが340万台である。前の四半期と比べ、310万台減、60万台増、70万台増となった。クライアント市場とコンシューマー市場が健闘していることが分かる。
HDD製品全体の販売台数は1290万台である。前の四半期と比べて180万台減となった。HDD製品の平均販売価格(ASP)は99米ドルである。前期の125米ドルから大きく低下した。
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