同モジュールでは、テレビなどのスイッチングレギュレーターを多用する機器や、エアコンなどのインバーター回路を使った機器でより大きな電力を収穫できるという。さらに「サーボ駆動するロボットなどではかなり収穫が大きい」と説明。同社が今回のモジュールを用いた実験では、冷蔵庫に設置した場合、電圧11.37V、電流50μAの環境で0.57mWの電力を、PCの場合では電圧10.5V、電流0.1mAの環境で1.1mWの電力を得られたという。さらに産業用ロボットでは30V、0.4mAの環境で12mWの電力を収穫可能だった。この電力を利用し、低消費電力型のIoTセンサーや通信機器にエネルギーを供給し、工場のスマート化など、さまざまなIoTネットワーク構築に貢献できるとしている。
今回のモジュールの出力電圧は最大2.7V、出力電流は最大5mAとなっている。なお、吉野氏は「収穫電力にもよるが、顧客の要望によって変更は可能だ」と説明していた。
また、機器から発生する電磁波ノイズを常に収穫し続けることから、収穫電圧の変化を検知することで、照明が正常に点灯しているかの検知や、モーターを内蔵したロボットなどの機器の故障検知など、さまざまな状態検知にも応用可能だという。このほか「例えば人間が機器を触った際にノイズが移ることを利用し、タッチセンサーのように応用することもできるだろう」(吉野氏)としている。
SSSは、同モジュールについて2023年11月にサンプル出荷を開始し、用途開拓を進めていく方針だ。前述の通り、幅広いユースケースに適応可能だが、まずは安定して十分な電力が生成できる環境かつセンシング需要も明確な、後付けのセンサーによるスマート工場化の分野などを有望視しているという。
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