三恵技研工業、Future Materialz(FMC)および、東北大学は、小型モーターに向けたレアアースフリーの「強磁性窒化鉄系ボンド磁石」を開発した。このボンド磁石を用いた小型モーターは、ネオジムボンド磁石と同等の性能が得られることを実証した。
三恵技研工業、Future Materialz(FMC)および、東北大学は2024年9月、小型モーターに向けたレアアースフリーの「強磁性窒化鉄系ボンド磁石」を開発したと発表した。このボンド磁石を用いた小型モーターは、ネオジムボンド磁石と同等の性能が得られることを実証した。
国内で消費される電力の大半はモーターによるものである。このためモーターメーカーは、レアアースのネオジウムを使った磁石を用いるなどして、モーターの効率改善を図ってきた。ただ、レアアースは供給リスクがあり、使用量をできるだけ削減した磁石の開発が求められていた。
東北大学の高橋實教授は、1972年に強磁性窒化鉄の存在を明らかにしていた。この研究成果に基づき、FMCが磁気特性や分散特性、耐蝕性に優れた高純度の強磁性窒化鉄(Fe16N2)粉末を大量合成することに成功した。さらに三恵技研がボンド磁石化技術を開発することで実現した。
開発した強磁性窒化鉄系ボンド磁石の大きな特長は、極めて強い磁力を持つ「強磁性窒化鉄」と、ネオジウムを使わない強力な磁石である「サマリウム鉄窒素」という、2つの異なる磁性成分を組み合わせて作製したことである。独自技術により、異なる磁石成分を一体化し、単一材料のように機能する磁石を作ることに成功した。複数の成分を適切に組み合わせれば、磁石の特性を細かく調整することも可能だという。
東北大学大学院工学研究科の中村健二教授は、開発した強磁性窒化鉄系ボンド磁石を用いたモーターの特性を評価した。この結果、ネオジムボンド磁石を用いたモーターと同等の特性を有していることが分かった。
研究グループは今後、開発したボンド磁石の量産技術を確立していくとともに、モーターメーカーと共同で、この磁石を使った新しいモーター製品の開発にも取り組む予定である。
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