TDKは、車載PoC(Power over Coax)向け巻線インダクター「ADL3225VFシリーズ」を発表した。最大1600mAの大電流に対応していて、高周波数帯で高いインピーダンス特性を実現している。高速信号/高機能アプリケーションでの使用に適する。
TDKは2025年3月18日、車載PoC(Power over Coax)向け巻線インダクター「ADL3225VFシリーズ」を発表した。最大1600mAの大電流に対応していて、高周波数帯で高いインピーダンス特性を実現している。高速信号/高機能アプリケーションでの使用に適する。
自動車のセンサー搭載数は、自動運転技術の進展に伴って増加する中、ワイヤハーネスの重量増加が課題となっている。PoC伝送は、信号と電力を同軸ケーブルに重畳して伝送することで配線本数を従来の半分にし、ワイヤハーネスの重量を削減できる伝送方式だ。
PoC伝送回路には、電力側への信号の流入を防ぐためのフィルターが必要になる。フィルターは広い周波数帯域に対応する必要があるので、複数個のインダクターを組み合わせて構成することが一般的だ。PoCフィルターで信号品質を保つためには、高いインピーダンス特性が求められる。
ADL3225VFシリーズは最大1600mAの大電流に対応し、赤外線カメラやディスプレイといった大電流アプリケーションで使用できる。
同製品は、特に高周波数帯域で高いインピーダンス特性を実現している。インピーダンス特性の高さから、従来よりもインダクター数を減らしてPoCフィルターを構成できるという。TDKは使用例として、2025年2月に発表した「ADL4532VKシリーズ」との組み合わせを提案している。
「従来品の使用環境を調査すると、1500mAの大電流かつ105℃という高温の環境で使用している例があった。高機能を要する領域のため4個のインダクターでフィルターを構成していたが、ADL3225VFシリーズを使用するとインダクターを3個に削減でき、実装面積も削減できた」(TDK)
125℃の高温環境で使用可能で、製品保証温度は最大155℃。レーザーによる継線接合で、接合部の高耐熱性も確保している。さらに、高耐熱の被膜ワイヤや熱衝撃耐性の高い金属端子を採用している。
ADL3225VFシリーズの開発にあたっては、コア材料の選定や配合を見直したことで大電流対応と高いインピーダンス特性、高温対応が実現したという。
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