フェアリーデバイセズは「第9回 AI・人工知能 EXPO 春」で、マイク/カメラ内蔵の首掛け型ウェアラブルデバイス「THINKLET」と、THINKLETの映像をWeb会議上で共有できるWebサービス「LINKLET」を紹介した。Web会議接続機能によって、遠隔地からでも現場の作業者に指示出しができる。
フェアリーデバイセズは「第9回 AI・人工知能 EXPO 春」(2025年4月15〜17日、東京ビッグサイト)にて、マイク/カメラ内蔵の首掛け型ウェアラブルデバイス「THINKLET(シンクレット)」と、THINKLETの映像をWeb会議上で共有できるSaaS(Software as a Service)型Webサービス「LINKLET(リンクレット)」を紹介した。
フェアリーデバイセズは、マルチモーダルAI技術やAI対応のウェアラブルデバイスを開発し、現場業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援している。同社が注力しているのが、カメラやマイク、スピーカー、通信機能を備えた首掛け型ウェアラブルデバイスのTHINKLETだ。
首掛け型のウェアラブルデバイスはデバイスを持つ必要がないので、利用中も両手を自由に使える。ゴーグルやイヤフォンのように視覚や聴覚を遮らないので、現場作業を邪魔しない。さらに、カメラ付きデバイスの場合、手持ちよりも安定したポジションを保てるので、ブレのない映像が得られる。
THINKLETならではの特徴は、高精度な音声認識機能である。建設現場や工場内などの高騒音環境下でも、ユーザーの声を高精度で集音できるという。また、手軽さも長所の一つだ。現在販売中のモデルは重量約170gと軽量で、実際に装着してみると装着していることを忘れてしまうほどだった。ボタンは電源ボタンと3つのファクションボタンのみで、操作もシンプルだ。
SaaS型ウェブサービスのLINKLETを利用すると、THINKLETとWeb会議を連携できる。専用ソフトの導入は不要で、現場作業員が装着したTHINKLETで撮影する映像を、ZoomやMicrosoft Teamsなどで共有できる。この機能によって、遠隔地からでも熟練者から現場作業員への指示出しが可能になり、移動時間の短縮やコストの削減、作業の効率化が実現する。
ほかにも、音声アシスタント機能が搭載されていて、ユーザーの声でデバイスを操作できる。作業中でメモが取れない状況にあっても音声入力によって帳票を作成できるほか、作業中に必要な情報を音声読み上げ機能を使って聞くことも可能だ。また、事前に作業手順を登録し、AIが音声を読み上げて現場作業員に作業内容を指示することもできる。THINKLETを装着した状態で「いま××棟にいます。何をしたらいいですか」と尋ねると、「○○の数値を確認してください」「次は△△に向かってください」といった指示が繰り出されるという。
記録した映像は別の業務にも活用できる。例えば、熟練者の作業映像を使用して、新人教育用のビデオや手順書の作成が可能だ。知識や経験、ノウハウを共有し、教育時間の短縮や業務属人化の解消を図れる。また、記録映像を基にAIに日報を書かせることもできる。長時間にわたる映像を見返さなくても、AIが作業内容を解析して要約する。
「現場作業員は体を動かしている間に価値を生んでいる。それ以外の研修や日報作成の時間をいかに減らすかが重要だ」(同社担当者)
作業現場以外でもTHINKLETおよびLINKLETは利用できる。バイクの運転中の経路案内や、旅行先でのVlog撮影など、さまざまな分野での応用例が想定されている。
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