TIは、BAW発振器を内蔵したタイミングソリューションとして、固定周波数LVCMOS発振器「CDC6C-Q1」、PCI Express 6.0(PCIe 6.0)に準拠したリファレンスレスクロックジェネレーター「LMK3H0102-Q1」、リファレンスレスクロックジェネレーター「LMK3C0105-Q1」の3製品を発表した。LMK3H0102-Q1とLMK3C0105-Q1は5つの出力を備えていて、複雑な車載インフォテインメントシステムの設計を簡素化するという。LMK3H0102-Q1は、最大で34.5フェムト秒のジッタ特性が特徴だ。
BAWは圧電性トランスデューサーを使用し、ギガヘルツ単位の周波数と高いQ値の共振を生成する技術。BAW発振器は、水晶振動子に比べ、長期にわたる信頼性や超低ジッタ、高速な処理などを実現できるとする。今回は、BAWを活用したタイミングソリューションを車載向けに開発したことが特筆すべき点だとVaughan氏は強調する。特に故障率(FIT)は、水晶発振器の30に対し、BAW発振器では0.3(JEDEC JESD85に準拠するもの)と、100倍高い水準になっている。
今回発表したBAWソリューションはMEMSを用いている。MEMSベースのタイミングソリューションは米SiTimeも提供しているが、Vaughan氏によればTIのBAWソリューションは、SiTimeのMEMSとは異なる方式を採用しているという。「TIのBAWソリューションは、SiTimeの製品あるいは水晶発振器をそのまま置き換えられ、BAW技術ならではの利点も提供する。TIは製造プロセス全体を自社で保有しているので、コスト面でも優位性がある」(同氏)
その他、ミリ波レーダーセンサーの新製品として「AWR2944P」も発表した。2022年に発表した77GHzのレーダーセンサー「AWR2944」をベースにしたもので、AWR2944Pはフロントおよびコーナー用のレーダーセンサーとなる(PはPerformanceの意味)。周波数範囲は76G〜81GHz。AWR2944よりも、S/N比と演算性能を向上させた他、メモリ容量を増加。より高度なアルゴリズムを処理できるようAIハードウェアアクセラレーターも統合した。
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