日本電気硝子は2025年12月、低誘電ガラスファイバ「D2ファイバ」を開発し、販売を開始した。「世界一」(同社)とする低誘電正接を実現している。AIの普及で、高速/大容量通信が求められる中、AIサーバ用マザーボードや高周波通信機器用基板、半導体パッケージ基板などに使うことで、信号の伝送損失の抑制が期待できる。
日本電気硝子は2025年12月2日、低誘電ガラスファイバ「D2ファイバ」の販売を開始した。AIサーバ用マザーボードや高周波通信機器用基板、半導体パッケージ基板などに使うことで、信号の伝送損失を抑制できる。
D2ファイバの特徴は、0.0017tanδ(タンジェントデルタ)という低誘電特性(低誘電正接)だ。同社のガラスファイバの既存品である「Eガラスファイバ」の誘電正接は0.0065tanδだが、ガラスの組成などを変えることで、Eガラスファイバよりもさらに低い誘電正接を達成したという。これにより、信号の伝送損失を抑えられるので、通信の高速化と大容量化を実現できる。加えて、通信ロスによる発熱も減らせるので、冷却システムの低消費電力化にも貢献する。
生成AIなどの爆発的な普及に伴い、通信データ量は右肩上がりで増加していくと予想されている。そのため、サーバや通信機器、半導体パッケージに用いられる基板材料には、低伝送損失の材料が強く求められている。D2ファイバも、市場からの強い要請を受けて開発されたと日本電気硝子は語る。
日本電気硝子は十数年前に、マザーボード向けの低誘電ガラスファイバを手掛けていた時期がある。「当時、自動車向けのEガラスファイバにリソースを集中させたこともあり、一時的に販売を停止した。今回は、市場からの要請が強いこともあり、われわれとしても再度開発を進めて、Dファイバの発売に至った」(同社)。その上で「今後は、ガラスファイバなどのガラス複合材関連でも高付加価値品を増やしていきたい」と付け足した。
D2ファイバは国内で生産するが、生産規模および価格は非公開。供給能力拡大についても「強い需要があるので、生産能力増強を早期に図る」と述べるにとどめ、具体的な投資計画などは明らかにしなかった。
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