古野電気は、新開発の車載用GPSチップ「eRideOPUS 5」を採用したGPSモジュールを複数開発し、自動車技術に関する総合展示会「人とくるまのテクノロジー展(2011年5月18〜20日)」に出品した。
古野電気は、新開発の車載用GPSチップ「eRideOPUS 5」を採用したGPSモジュールを複数開発し、自動車技術に関する総合展示会「人とくるまのテクノロジー展(2011年5月18〜20日)」に出展した(図1)。
GPSを使った測位機能は、今や自動車にはなくてはならない機能だ。カーナビや簡易型カー・ナビゲーション機器(PND)はもちろのこと、盗難車両の追跡システムや、自動車の緊急時通報システムなどへ、活用範囲が広がっている。
古野電気が開発したeRideOPUS 5は、位置情報を得るまでの時間を短縮すること、どのような状況下でも安定して位置情報を得るという2つの観点で、新たな4つの機能を盛り込んだことが特徴だ(図2)。
1つ目は、「セルフエフェメリス」と呼ぶ、測位時間を短縮化する機能。従来は、測位して2〜4時間過ぎると、その後新たに位置情報を得ようとしたとき、少なくとも35秒かかっていた。セルフエフェメリスを搭載したことで、測位して72時間後までなら、平均3.5秒と短い時間で位置情報を得られる。
2つ目は、LTCSM(Long Term Compact Satellite Model)と呼ぶ同社独自のA-GPS(Assisted GPS)機能。これも、位置情報を得るまでの時間の短縮に貢献する。3つ目は、複数のセンサーの情報を基に位置変化を算出する自律航法(DR:Dead Reckoning)機能。4つ目は、加速度センサーと車速パルスのデータを基に道路の傾斜を算出する機能である。
同社のブース担当者は、「豊富な機能を搭載したGPSチップを使うことで、一般的なGPSの用途だけではなく、ハイブリッド自動車や電気自動車の燃費向上に役立てられることを提案したい」と説明した。例えば、GPS機能を使って地図データと車両位置をマッチングさせるとともに、道路の傾斜情報を加味することで、燃費が向上するように自動車を制御するといった活用方法だ。
従来はRFレシーバICとベースバンド処理ICという2チップ構成だったものを、eRideOPUS 5では1チップに集積したことも特徴である。低雑音アンプ(LNA)も集積しており、主な外付け部品は、フラッシュメモリと、温度補償型水晶発振器(TCXO)、SAWフィルタだけである。
会場では、eRideOPUS 5を採用した小型GPSモジュール「GN-85F」、アンテナを一体型にした「GH-85」、自律航法に対応したミドルウェアを搭載した「GV-85」を展示していた(図3)。GH-85は既に量産を開始している。GN-85Fは2011年8月に、GV-85は2011年秋に量産を開始する予定である。
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