スマートグリッドに関連した無線通信技術の国際標準に焦点を当てたセミナーが、2011年9月16日に東京都内で開催される。
「スマートグリッドの国際標準化の最新動向をキャッチする、絶好の機会だ」――。東北大学電気通信研究所は、スマートグリッドを対象にした無線通信技術の国際標準に焦点を当てたセミナーを、2011年9月16日に東京都内で開催する(詳細サイト)。
このセミナーの特徴は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)の標準化委員会で現在作業が進められている「ホットな話題」が、全て盛り込まれていることだ。「登壇する講師はいずれも、IEEEで現在進行中の標準化作業のリーダーである。このセミナーに参加すれば、IEEEや米国を中心にしたスマートグリッドの標準化の全容を把握できるはずだ」(主催者で、同研究所の人間情報システム研究部門の教授を務める加藤修三氏)という。
例えば、近距離の無線通信方式に焦点を当てたIEEE 802.15部門の議長やZigBee Allianceの議長などを務めるBob Heile氏や、無線LANの標準規格を策定するIEEE 802.11部門の議長であるBruce Kraemer氏が登壇し、スマートグリッドに向けた無線通信技術の最新動向や、米国におけるスマートグリッドの実用化に向けた取り組みを解説する。
この他、現在策定が進められているスマートグリット関連の無線通信規格について、以下のような講演が予定されている。
数kビット/秒と低速ながら約15kmと長距離を伝送する技術。発表タイトルは、「Low Energy Critical Infrastructure Monitoring, a paradiam shift in wireless」である。
いずれも、WiMAX(IEEE 802.16)の通信技術をベースにした技術。発表タイトルは、「Enabling Smart Grid Applications with 802.16n and 802.16p」である。
無線LANに使われているIEEE 802.11の通信技術をベースにした900MHz帯を使った技術。発表タイトルは、「Status of IEEE 802.11ah and relevance to the Smart Grid」である。
電気やガス、水道といったインフラの自動計測への応用を目指した技術。発表タイトルは、「IEEE Standard for Physical Layer Specifications for Low Data Rate Wireless Smart Utility Networks; IEEE 802.15.4g」である。
3月11日に発生した東日本大震災をきっかけに、スマートグリッドを導入する機運が日本国内でも高まっている。しかしその一方で、今の日本の状況を見ると独自の無線通信方式を使う向きもある。前出の加藤氏は、そのような状況を危惧している。「標準規格を採用せず、汎用性がないシステムを導入すると、ゆくゆくは世界全体の流れから取り残されてしまう。そうなると、日本以外の地域にビジネスを展開するのは、難しくなるだろう。世界の標準化動向を踏まえた上で、実際に導入するシステムの開発を進めてほしい」(同氏)。
IEEEの国際標準規格の重要性は、WiMAXやZigBee、Wi-Fiといった世界各国で広く使われているさまざまな無線通信規格の基本部分(物理層やMAC層)を策定していることからも明らかである。しかしながら、IEEEの標準化作業に対する日本企業の寄与は少ない。このような問題意識を基に、標準化の手順やアイデアを標準化する手法についてのチュートリアル講演も用意した。タイトルは、「Making the case for standards」と「How to get your ideas standardized」。
セミナーの名称は「IEEE Standardization and Smart Grid Standardization Updates」、開催場所は東京都港区赤坂の明治記念会館である。日本語と英語の同時通訳を用意した。Webサイトの専用フォームから事前の参加申し込みが可能である。会費は一般が4万円、学生が1万円で、利益は9月18日から沖縄で開催されるIEEE802委員会の標準化会議の支援費用に使われる。
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