iPadをブラジルで製造するという計画は、政府とメーカーの間で交渉が難航していることから、こう着状態が続いているという。
ロイターが匿名の政府筋の情報として伝えたところによると、「台湾のEMS(電子機器の受託製造サービス)大手FoxconnがブラジルでAppleの『iPad』を製造するというプロジェクトは、足踏み状態である」という。政府筋は、その要因として、Foxconnへの税制上の優遇措置に関する交渉が行き詰まっていることなどを挙げている。
先の報道では、ブラジルの科学技術革新大臣であるAloizio Mercadante氏が「メイド・イン・ブラジルのiPadは、2011年12月に市場にお目見えする」とコメントしたと伝えられたが、今回のロイターの報道は、同氏のこの発言に反するものである。
ブラジルのDilma Rousseff(ジルマ・ルセフ)大統領は2011年4月、「Foxconnは、今後5〜6年間に総額120億米ドルをかけてブラジルに生産拠点を構える計画について、現在、ブラジル政府と交渉中である」と公表していた。だが、その後、ブラジルでiPadの生産を開始する時期は当初の予定であった2011年7月から11月に延期され、先日のMercadant氏の発言では、さらにそれが12月になると示唆された。こうした状況から、どうやらプロジェクト自体が一向に進展していないようである。
ロイターは、匿名の政府筋の発言として、「交渉が非常に難航していたことは事実だが、ここにきてブラジルでのiPad製造プロジェクトは完全にこう着状態となってしまった。Foxconnはブラジル政府に対し、税制上の優遇措置やその他の利権に関してさまざまな要求を突き付けているようだ」と伝えた。
ブラジル政府はFoxconnに対し、地元のブラジル企業と提携するよう求めているが、Foxconnは「ブラジル企業は、iPad製造のような大規模なプロジェクトに対応できるような技術力や資金を備えていない」と反論している。また、Foxconnは、部品の輸入の税関手続きを優先して進めるよう要求しているという。ちなみに、ブラジルの税関手続きは、時間がかかることで有名だ。
ロイターは、「交渉が難航した結果、このプロジェクトの規模は、Rousseff大統領が2011年4月に発表した120億米ドルから縮小される可能性もある」としている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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