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タイの洪水でHDDの供給不足は深刻に、PCメーカーにも大打撃ビジネスニュース(2/2 ページ)

» 2011年11月04日 11時46分 公開
[Sylvie Barak,EE Times]
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 タイの洪水では、これまでに数百人もの犠牲者が出ており、バンコクでは数万人以上が自宅から避難した。バンコクはタイ全体の経済生産の40%を占めることから、洪水は経済的にも大きな被害をもたらしている。

 米国の市場調査会社であるIHS iSuppliは、「世界のHDD製造工場の約25%がバンコクまたはバンコク周辺にあるため、2012年第4四半期までHDDの供給に大きな影響が及ぶとみられる。特に、2011年12月中旬〜2012年2月にかけて、HDDの供給不足が深刻化すると予想される」と指摘している。

 同社は、報告書の中で「洪水の影響を受け、2011年第4四半期のHDD業界は、過去3年間で最大の落ち込みを記録することになるだろう。同四半期のHDD出荷数は、2011年第3四半期の1億7300万個から27.7%減となる1億2500万個に落ち込む」との予測を示している。

「この27.7%という下落幅は、エレクトロニクス業界の景気が最も低迷していた2008年第4四半期に21.2%の下落を記録して以来、最大の数値となる」(iSuppli)。

 世界最大手のHDDメーカーであるWestern Digital(WD)は、タイ国内における全ての自社工場の操業を停止する事態に追い込まれた。東芝や、その他の小規模なHDDメーカーも、同様に製造工場の稼働を停止している。このため、市場には現在、わずか2カ月分相当の在庫しか残されていない状態だ。

 さらに、Samsungは「DRAMの価格も下落する」との見解を述べている。

 米国の市場調査会社であるinSpectrumも同様に、DRAMの価格は引き続き低迷すると予測する。

 またinSpectrumは、HDDの供給が不足することで、USBフラッシュドライブや、HDDよりも価格が高いSSD(Solid State Drive)の需要が伸びる可能性があると指摘する。「このため、NAND型フラッシュメモリのスポット市場価格は短期間で上昇するだろう」(inSpectrum)。

 一方、iSuppliは、「今回の破壊的な洪水によって、自動車や自動車部品、カメラ、アナログ半導体、ディスクリート半導体、HDDなど、主要な最終製品や電子部品、サブシステムなどの製造にも被害が及んでいる」と述べる。

 また、iSuppliは発表資料の中で、「タイ以外で最も大きな被害を受けたのは日本だ。さまざまな日本企業が、洪水の被害を受けた地域に大規模な製造拠点を置いている」と報告した。

 iSuppliは、「日本は東日本大震災に続き、2011年に入って2回目となる大規模な自然災害の被害を受けた。タイは、日本企業の製造拠点として重要な役割を担っている。タイ国内には日本企業の製造拠点が約1800カ所あり、洪水の被害を受けた7つの工業地域には、450社の日本企業が活動拠点を置いている」と付け加えた。

【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】

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