ソニーが新たに開発した近距離無線通信技術「TransferJet」用LSIは、データ伝送速度と受信感度が高いことが特徴。スマートフォンやタブレットPCといったモバイル機器を狙い、消費電力や外付け部品を減らしたことも特徴である。
ソニーは、データ伝送速度が350Mビット/秒と高く、業界最高の受信感度をうたうTransferJet用LSIを開発し、研究成果を米カリフォルニア州サンフランシスコで2012年2月19〜23日に開催された半導体集積回路技術の国際会議「ISSCC(International Solid-State Circuits Conference) 2012」で発表した。
TransferJetは、ソニーが主導して策定した近距離の高速無線通信技術である(関連記事その1、その2)。今回、ホスト側とのインタフェースを「SDIO UHS-I」に対応させるなどして、規格で規定された実効速度の最高値375Mビット/秒に迫る、350Mビット/秒という高い転送速度を実現した。受信感度は、規格値で−71dBmという値が求められる「Rate65受信モード」のときに−82dBm、規格値で−59dBmという値が求められる「Rate522受信モード」のときに−70dBmである。
この他、モバイル機器への搭載を狙い、消費電力や外付け部品の個数を減らした。消費電力は、連続受信時に265mW、連続送信時に118mW、間欠受信時に263μWと、従来比で34%削減した。さらに、従来外付けする必要があった高周波(RF)バラン、送受信RFスイッチ、LDOレギュレータ、OTP(One- Time-Programmable)-ROMを集積した他、マルチリファレンスクロック回路を内蔵することで、専用の外付け水晶発振器を不要にした。パッケージは、外形寸法が6.0×6.0×0.72mmの96端子WFGAでる。
今回発表したTransferJet用LSIは、2012年8月に出荷を開始する予定。サンプル価格は500円(税込み)である。Android機器への搭載を容易にするために、Linux版ソフトウェアディベロップメントキットに加え、Android版ソフトウェアディベロップメントキットも提供する。
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