欧州の7つの団体が、水素貯蔵技術を使ったエネルギー貯蔵施設を建設すべく、コンソーシアムを立ち上げた。再生可能エネルギー利用の促進を目指す。
水素貯蔵施設をイタリアのプッリャ州に建設するため、欧州の7団体がコンソーシアムを設立した。
この建設プロジェクト「Ingrid」には、ICT(情報通信技術:Information and Communication Technology)を手掛けるイタリアのEngineering Ingegneria Informaticaの主導の下、州政府の技術革新局であるRegional Agency of Technology and Innovation(ARTI)、イタリアの電力会社であるEnel Distribuzione、ベルギーの電解装置メーカーであるHydrogenics、水素の貯蔵技術を専門に手掛けるフランスのMcPhy Energyの他、2つの研究機関(イタリアのRSEとスペインのTECNALIA)が参加している。
同コンソーシアムは、水素貯蔵施設と、スマートグリッド向けの高度なICTを用いた電解装置を組み合わせたシステムを提案することで、再生可能エネルギーの利用を促進したい考えだ。
建設される予定の貯蔵施設には、McPhyの水素貯蔵技術(注)と、Hydrogenicの電気分解技術および燃料電池電力システムが導入されるという。
注)McPhyは、水素化マグネシウムを利用した水素貯蔵技術を手掛けている。
プッリャ州には既に、太陽光、風力、バイオマスをエネルギー源として3500MW(メガワット)以上の電力を供給する発電施設が設置されている。Ingridプロジェクトが建設を計画している水素貯蔵施設では、1トン以上の水素を安全に貯蔵することができるとされている。また、1.2MW規模の高速応答型の水素発電機を導入する予定だという。
同施設は、Enel Distribuzioneが管理する地域の電力網の需給バランスを効果的かつスマートに保つことに役立つと期待されている。
Ingridプロジェクトの総予算額は2390万ユーロ(約2900万米ドル)で、欧州連合(EU)から1380万ユーロ(約1670万米ドル)の助成金を受けている。
【翻訳:清藤康司、編集:EE Times Japan】
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