National Instrumentsは、計測/制御用アプリケーションソフトウェアに向けたグラフィカル開発ツールの最新版「LabVIEW 2012」を、年次のテクニカルイベント「NIWeek 2012」で発表した。
National Instruments(NI)は、計測/制御分野のアプリケーションソフトウェアや各種組み込みソフトウェアに向けたグラフィカル開発ツール「LabVIEW」の最新版となる「LabVIEW 2012」を、米国テキサス州オースチンで2012年8月6〜9日に開催したカンファレンス兼展示会「NIWeek 2012」で発表した。
同社は、LabVIEWを同社が提唱する「グラフィカルシステム開発」の中核製品と位置づけており、機能の強化と、連携する計測や組み込み用ハードウェアの拡充に取り組んできた。これらのツールを開発プラットフォームとして活用すれば、ひらめいたアイデアを第三者でも分かりやすいグラフィカルなイメージで表現することができ、設計から試作、実装に至る一連の工程を、単一のグラフィカル環境で直感的に行うことが可能となる。
今回発表した最新版のLabVIEW 2012は、従来版の特徴を継続しつつ、幾つかの改良を施した。目玉の1つは、「テンプレート」と「サンプルプロジェクト」の充実を図ったことだ。テンプレートはLabVIEWアプリケーションの基本的な構成要素となるもので、コード部分の実行シーケンスの定義を容易にしたり、互いに通信する必要のある複数の独立したタスクを含むLabVIEWアプリケーションを作成したりするときに使える。サンプルプロジェクトは、1つまたは複数のテンプレートを実際のアプリケーションで使用する方法を示すものである。
今回の拡充では、これらのテンプレートやサンプルプロジェクトについて、ユーザーにおけるカスタマイズの範囲を従来版に比べて広げた。LabVIEWを使ってユーザーが開発するシステムが大規模化し、その構造が複雑化してきたことに対応する狙いがある。従来版でも、限られた範囲で機能を変更することはできたが、大きな変更は想定していなかったという。これに対しLabVIEW 2012は、ユーザーが大幅な機能の変更や追加を行うことを前提として開発した。そのため、大きな変更/追加を可能にするパラメータ設定などが容易である。加えて、システムの規模が大きくなっても、プログラムコードの記述がいわゆる「スパゲティコード」に陥らないような工夫も施した。
注目の改良点の2つ目は、「安定性」のさらなる向上である。これまでもNIは、LabVIEW使用時のバグや、LabVIEWの過去のバージョンのプログラムコードを読み込んだときのクラッシュ頻度を大幅に低減するなど、安定性の改善には継続的に取り組んできた(参考記事)。今回の最新版は、ユーザーからフィードバックされた情報などもこれまで以上に反映させて開発したという。その結果、LabVIEW 2012の開発中にβ版で早期ユーザーが実施した評価では、見つかったバグの数が従来のバージョンに比べて一段と少なくなった。
この他LabVIEW 2012では、それ自体の基本機能を向上させると同時に、連携するハードウェア製品群についても拡充も図った。NIWeek 2012で発表した「NI CompactDAQスタンドアロンシステム」(参考記事)やIEEE 802.11ac対応のRFベクトル信号トランシーバ「NI PXIe-5644R」(参考記事)などである。こうしたハードウェア製品は、同社が進めているプラットフォームベースのシステム開発手法を後押しするものだ。
また、Appleのタブレット端末「iPad」を制御/監視アプリケーションのグラフィカルなマンマシンインタフェース(HMI)として使える「NI Data Dashboard」の提供も始めた。基調講演では、NI Data Dashboardとアドオンモジュールの「NI LabVIEW Roboticsモジュール」を活用したデモを見せた。LabVIEWで開発した制御アプリケーションを使って、ロボットのCADデータをモデルとして利用してコンピュータ上で動作をシミュレーションし、問題がなければ実機にそのアプリケーションをダウンロードして動作させるというデモである。シミュレーションでも実機でも、ロボットの操作はiPadを使う。
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