National Instrumentsは、シャーシ部にIntel製のデュアルコアプロセッサを搭載したデータ集録ハードウェアの新型機を発表した。内蔵のプロセッサ上でWindows EmbeddedもしくはリアルタイムOSを稼働させることが可能だ。従来機で必要だった外部PCが不要になる。
National Instruments(NI)は、計測/データロギング向けのモジュール式データ集録ハードウェア「CompactDAQ」を拡充し、シャーシ部にIntel製のデュアルコアプロセッサを搭載することで単体動作を可能にした「NI CompactDAQスタンドアロンシステム」を投入した。従来のCompactDAQは外部にPCを接続する必要があったが、新型機では不要だ。同社が本社を置く米国テキサス州オースチンで2012年8月6〜9日に開催したカンファレンス兼展示会「NIWeek 2012」で発表した。
デュアルコアプロセッサの品種が異なる2機種を用意した。1.33GHz動作の「Intel Core i7」を搭載する「NI cDAQ-9139」と、1.06GHz動作の「Intel Celeron」を内蔵する「NI cDAQ-9138」である。これらの内蔵プロセッサ上で、MicrosoftのWindows EmbeddedもしくはリアルタイムOSを稼働させることが可能だ。2機種ともに、2GバイトのRAMと32Gバイトの不揮発性ストレージを搭載した。収集したデータを外部PCに転送することなく、このシャーシ上に構築したシステムに直接記録しながら、そのデータの解析や演算結果の表示といった後処理までを同じシステム内で完結させられる。価格は75万7000円(税別)から。
スロット数は8個で、NIが従来から提供しているI/Oモジュールで50種類以上がそろう「Cシリーズ」に対応した。アナログ入力(AI)、アナログ出力(AO)、デジタル入出力(DIO)、CANなど、さまざまな入出力インタフェースやセンサーを、このシャーシに統合することが可能だ。連続した計測データを、最大30Mサンプル/秒の速度で外部HDDにストリーミングすることもできる。
また、NIのグラフィカル開発ツール「LabVIEW」の最新版「LabVIEW 2012」では、高速データ集録/データロギング向けにサンプルプロジェクトやテンプレートが用意されているので、それを活用すればシステムの開発期間やメンテナンスコストの削減が可能になるとしている。
同社はNIWeek 2012の展示会場で、スタンドアロン型CompactDAQのデモを実演した。自動車の模型を用意し、それに加わる振動や荷重などのデータを収集するとともに、CANバスを流れるデータをモニタリングするデモである。これらのデータを管理し、解析を実行してその結果をモニターに表示して見せた。
NIでData AcquisitionのDirector of Product Marketingを務めるChad Chesney氏によれば、「データ収録のニーズとして大きく3つのトレンドがある」という。1つは「電子機器や自動車分野に見られるように、開発対象のシステム自体が複雑化しており、データ収録のインテリジェント化と柔軟性が要求されている」点である。2つ目は、「データを監視する際に、解析結果をiPadなどのモバイル端末でリアルタイムに閲覧したい」という要求だ。3つ目は、「クラウド技術をどのような形でデータ収集システムに取り込むか」である。NIでは高性能なプロセッサを搭載したスタンドアロン型CompactDAQと、新機能を搭載したLabVIEW 2012を活用することで、これらのニーズに応えていく。
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