Intelは、2012年に同社初のマイクロサーバ向けデュアルコア製品として「Centerton(開発コード名)」をリリースした。しかしこの製品については、「既存のXeonよりも電力効率が悪い」と指摘されている。ARM陣営のSoCにもマイクロサーバ市場でのシェア獲得のチャンスがありそうだ。
Intelは、2012年に同社初となるマイクロサーバ向けデュアルコア製品「Atom S1200シリーズ(開発コード名:Centerton)」をリリースした。しかし、市場調査会社の米The Linley Groupで主席アナリストを務めるLinley Gwennap氏は、「Centertonは、既存の『Xeon』チップよりも電力効率が悪い。そのため、ARM陣営のSoC(System on Chip)にも市場シェア獲得のチャンスが残されている」と述べている。
Centertonは、数多くのベンダーから発売されているARMベースのサーバ向けSoCの競合製品として投入された。消費電力を6.3Wまで削減したが、EthernetやSATA、USBコントローラ、マルチスレッドには対応していない。
Gwennap氏は、米カリフォルニア州サンフランシスコで開催された「Linley Tech Data Center Conference 2013」(2013年2月5〜6日)において、「Intelが提供しているデータを比較すると、Centertonは性能面でXeonより退行しているかのように感じられる。Centertonは、実際にはマイクロサーバ向けSoCと呼べるレベルにはない。32nmプロセスで製造されていることもあり、性能がかなり低い」と指摘した。
Gwennap氏はCentertonを、新たなAtomコアを搭載する22nmプロセス世代のCPU「Avoton」の代用品的な製品と位置付けている。ただ、同氏は「Intelは、まだAvotonの詳細を明らかにしていない。製造を開始するのは、2013年後半以降になるだろう」とみている。
Linley Groupは、最近発行したリポートの中で、「ARM陣営のサーバ向けSoCは、2016年に25億米ドルの市場規模にまで成長する」と予測している。この金額はサーバ向けプロセッサ市場の約30%に相当する見込みであり、将来的には100億米ドルの規模にまで成長することが予想されるという。なお、この予測は、「Microsoftが2016年までにARM対応のWindows Serverを投入することはない」との仮定の下に行われている。
ただし、Gwennap氏は「Intelだけでなく、ARM陣営も課題を抱えている」と指摘している。ARMベースのサーバ向けSoCを使用する場合、x86サーバ向けのソフトウェアを移植する必要がある。ARMベースのSoCは2013年後半まで64ビットアドレッシングには対応しないとみられることから、x86サーバに比べてシングルスレッドでの性能が低くなるという。
一方、x86のアーキテクチャは最高のシングルスレッド性能を実現するよう設計されている。Intelの最新チップは168個の命令を同時に処理する能力を備え、次世代チップの「Haswell」では192個の命令を処理できるようになるという。ただし、Gwennap氏は、「x86アーキテクチャには、有益な計算を実行せずに、データをあちこちに移動させるだけのロジックがある」とも指摘している。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.