次に、半導体製造装置メーカーである、アプライド・マテリアル(AMAT)と東京エレクトロン(TEL)について、太陽電池製造事業への取り組みを、提出された特許情報から探った結果も明らかにした。両社とも、2001年以降は、自国以外の海外での特許出願が多くなっている。2010年には、自国以外での特許出願が6〜7割に達している。ただし、特許出願の技術テーマに関する傾向は、両社の間で違いが見て取れる。AMATは、2006年ごろから半導体の製造プロセス、装置や材料に関する特許に加えて、太陽電池に関連した特許出願が目立つ。この結果、2008年には太陽電池製造装置分野ではトップの売上高となった。
トムソン・ロイターは、特許の引用などから特許そのものの重みづけを行っている。影響力の高い発明は、それだけ他の論文などへの引用件数が多いという判断からだ。太陽電池関連の特許では、Advent Solar(アドベント・ソーラー)の技術が他社の文献や論文にも数多く引用されている。そのアドベント・ソーラーを2009年11月にAMATが買収し、多くの特許を手に入れた。これに対してTELは、2012年3月に生産コストを低減する特許で強みを持つOerlikon Solar(エリコン・ソーラー)を買収している。
DRAM関連ではSamsung Electronics(サムスン電子)とエルピーダメモリに注目し、2008年以降の半導体に関わる特許出願とその技術分類から、企業の戦略性を推測した。エルピーダメモリは、DRAM関連特許の割合が比較的高く、ゲート領域や配線、回路などの微細化技術で強みを持つ。これに対してサムスン電子は、DRAM関連の特許は全体の一部に過ぎず、画像やサーバー、無線通信など、メモリ関連以外の技術が大半を占めるようになった。つまり、DRAMをコア技術として、液晶ディスプレイや携帯電話機など、より高い成長率が期待される分野への事業展開を見据えた開発戦略が明確となっている。
同報告書では、ワイヤレス給電技術の特許情報にも触れている。企業別では、Qualcomm(クアルコム)、パナソニック、Access Business Group(アクセス・ビジネス・グループ)、トヨタ自動車、セイコーエプソンおよびサムスン電子などからの出願件数が増えている。国別では、中国国内での特許出願件数が、日本や米国、韓国を上回ってトップとなっている。中国では大学からの出願が多いのが特徴だ。またクアルコムは、中国でワイヤレス給電関連の特許出願件数が最も多いことも特筆される。
ワイヤレス給電に関しては、企業と大学が連携した共同研究も多い。共著の文献などから共同研究について分析すると、マサチューセッツ工科大学、オークランド大学、東京大学などがそれぞれ核となって、国境を超えた産学連携が世界規模で展開されていることが分かった。
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