Intel(インテル)が2013年7月に、富士通セミコンダクター(以下、富士通セミコン)の携帯電話機向けRFトランシーバIC(RFIC)事業を買収していたことが明らかになった。
Intel(インテル)が2013年7月に、富士通セミコンダクター(以下、富士通セミコン)の携帯電話機向けRFトランシーバIC(以下、RFIC)事業を買収していたことが明らかになった。買収金額などに関しては、明らかにされていない。富士通セミコンダクターによると、「人数は明かせないが、同事業に従事した従業員もインテルに転籍した」としている。
富士通セミコンのRFIC事業は、2009年9月にフリースケール・セミコンダクタから数十億円規模で取得した事業。買収時に130人を超える開発人員をフリースケールから引き受け、米国アリゾナ州テンピに開発拠点(富士通セミコンダクター・ワイヤレス・プロダクツ)を設けてLTE向けを中心としたRFIC製品を開発、販売を進めていた。
携帯電話機やスマートフォン向け半導体は、RFICの他、ベースバンドプロセッサや電源管理ICなどとソフトウェアを統合したプラットフォーム販売が主流。その中で、富士通セミコンは、RFIC以外の製品展開は、一部顧客に対するカスタム製品提供などに限られ、RFICの売り上げ規模も思うように拡大しなかったようだ。直近のRFIC事業売上高は、年間数十億円規模とみられる。
インテルは2011年1月に、インフィニオンの携帯電話機用半導体事業を約14億米ドルで買収し、携帯電話機向け半導体市場に参入(関連記事:インテルがインフィニオンの無線事業買収を完了、新会社「Intel Mobile Communications」が始動)。ベースバンドプロセッサなどとともに、RFICも展開してきたが、LTEやLTE-Advanced向けRFICの開発は遅れていた。
インテルは米国EE Timesの取材に対して、富士通セミコンRFIC事業買収に関して「モバイル向け事業を拡充するため、事業買収を行った」と説明。富士通セミコンのLTE向けRFIC技術を取り込むことで、製品強化を図る狙いがあるようだ。
なお、富士通は、半導体事業で赤字が続き、現在、大規模な事業再編を実施している。2013年8月2日付で富士通セミコンの主力事業の1つだったマイコン/アナログ半導体事業をSpansion(スパンション)に売却した(関連記事:Spansion、富士通のマイコン/アナログ事業買収を完了)他、システムLSI事業についても、パナソニックのシステムLSI事業と統合、分離する方向で交渉を進めている(関連記事:「半導体事業再編は苦渋の決断」、富士通セミコンの従業員数は2000人以下へ)。
今回、RFIC事業売却がパナソニックなどとのシステムLSI事業統合交渉に与える影響について富士通セミコンでは、「RFIC事業の売り上げ規模は、それほど大きくなく、影響はない」としている。
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