ルネサス エレクトロニクスは、IP(Intellectual Property)技術を提供するライセンスビジネスを強化する事業方針を明らかにするとともに、同方針に基づき最新の動画像符号化方式HEVC/H.265に対応したビデオコーデックIPを2013年11月から発売すると発表した。
ルネサス エレクトロニクスは2013年10月29日、IP(Intellectual Property)技術を提供するライセンスビジネスを強化する事業方針を明らかにするとともに、同方針に基づき最新の動画像符号化方式HEVC/H.265に対応したビデオコーデックIPを2013年11月から発売すると発表した。
ルネサスは、マイコン、アナログ/パワー半導体といった個別半導体製品を提供するビジネスモデルから、個別半導体製品やソフトウェアを組み合わせた“キット”や、IPやプロセス技術といった半導体基盤をはじめ、OSやミドルウェアなどのソフトウェア群で構成する“プラットフォーム・ソリューション”と協力企業と連携した“エコシステム”を活用したビジネスの展開を目指している。
こうしたビジネスモデルの変革の中で、プラットフォーム・ソリューションを構成要素の1つであるIPを充実させると同時に、市場で広く販売するライセンスビジネスを強化する方針を決定した。ルネサスでは、「競争力のあるIPをいち早く市場へ提供し、業界標準の地位を獲得することが不可欠」とIPライセンスビジネス強化の狙いを説明している。
このライセンスビジネス強化方針に基づき、2013年11月から動画像符号化方式の1つであるHEVC/H.265に対応したビデオコーデックIPの販売を開始する。HEVC/H.265は、4K動画像処理向けに策定された高効率符号化方式。モバイル機器や各種民生機器、車載情報機器、産業機器など幅広い分野での応用が見込まれている。
ルネサスが開発したHEVC/H.265対応コーディックIPは、新規に開発した独自アルゴリズムを採用し、4K解像度の画像を30フレーム/秒でエンコード/デコード処理が行える。ルネサスでは、「従来の当社コーディックIPに比べ2倍の処理性能」としている。またフルHD画像であれば、60フレーム/秒で2チャンネルの同時処理が行え、「フルHD画像の圧縮トランスコードやビデオチャットなど、同時に複数の映像をエンコード・デコードすることが要求されるアプリケーションを、単一のハードウェアIPで実現できる」(同社)とする。データ制御方式の改良により、データの入力開始から対応する出力が開始するまでの遅延が、最小3msとなるコーデック処理を実現しているという。
ルネサスは、HEVC/H.265対応コーディックIPを「次世代動画像処理におけるキーIPと位置付け、幅広い市場に対し、積極的な拡販を行っていく」とする。外販と並行して、車載情報機器向けSoC(System on a Chip)「R-Carシリーズ」の第3世代品(開発中)へ搭載する方針も示している。
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